第22話 魔法書を買おう

ラックと共に、魔法屋に入りどんな魔法があるのか調べようとした矢先、怪しい老婆に属性を聞かたカインは、悩んだ末に、火属性と風属性の適正がある事を伝えた。


「2属性持ちかい。坊やは優秀だね。」


「はい。でもギルドで基本四大属性以外の魔法もあるって聞きました。ここには四大属性以外の魔法書も売ってるんですか?」


(基本属性以外の魔法なら聞いたり買ったりしてもおかしくないだろ。てかどんな魔法があるのか魔法の名前だけでも教えてほしい。名前さえわかれば後はイメージで再現できそうだし。)


「もちろんあるよ。まあこの店にあるのは、光属性の本と、氷属性の本だけなんだけどね。」


「光属性と氷属性ですか。」


「そうだよ。でも基本四大属性以外の本は、なかなか適正のある人がいないからねぇ。」


(う~ん。購入しないと本の中身は見せてもらえそうにないな。しょうがない。神の奇跡は今日はあきらめて、火属性と光属性と氷属性の本を購入するか。それにしても金貨10枚って高いな。折角稼いだのに、瞬間でお金がなくなるよ。)


「ならその光属性と氷属性、後火属性の本を売ってもらえませんか?」


「ん?火属性の本はわかるけど、光属性と氷属性もかい?適正がなかったら使えないよ?」


「はい。知ってます。使えるかどうかはわかりませんが、もしかしたら俺でも使えるかもしれません。使えたらラッキーだし、使えなくてもどんな魔法があるか知っておくのは今後の冒険者活動に役立ちますので。」


「おやおや、なかなか賢い事言う坊やじゃないか。そういう考え方は嫌いじゃないよあたしゃ。」


「じゃあその3冊をお願いします。」


「初級魔法の魔法書はそれぞれ3種類あるけど、どれにするんだい?」


(そう言えばバニーさんもそんな事言ってたな。ギルドにある本は1冊で四大属性全ての初級魔法が載ってたけど、基本は1冊につき一つの魔法が載ってるって事か。ならなおさら金貨10枚って高いよな。)


「そうですね・・・どんな魔法なのか教えてもらう事はできるんですか?まだ冒険者になったばっかりで火属性もファイアーボールしか使えないんです。火属性についても他にどんな魔法があるのか知らなくて。」


「そうかいそうかい。それは全然かまわないよ。火属性の初級魔法書はファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアーウォールの3つだよ。」


(なるほどなるほど。火の玉がスタンダードな魔法で、アローって言うぐらいだから矢みたいな感じか?ファイアーボールよりも威力があるって感じかな。ウォールは壁だから防御魔法って感じかな。)


「氷属性と光属性はどんな魔法があるんですか?」


「同じような感じさ。氷属性の初級魔法書は、アイスボール、アイスアロー、アイスウォールだね。光属性はライトボール、ライトアロー、ライトヒールさね。」


(ライトヒール!?もしや回復魔法じゃ。これは是非とも手に入れたいぞ。)


「ライトヒールっていうのはもしかして回復魔法ですか?」


「おやおや魔法は詳しくないって言っておきながら良く知ってるじゃないか。そうだよ。」


(なら光属性はライトヒールで決まりだな。火属性は防御魔法のファイアーウォールにするから氷属性はアイスアローの魔法書にするか。とりあえず詠唱魔法を覚えたら他の属性はイメージで無詠唱魔法で再現できるはずだ。)


カインは、火属性、氷属性、光属性のそれぞれの初級魔法書を購入する事を決め、店主の老婆に金か30枚を払い魔法書を受け取った。


「ありがとうね坊や。またいつでもおいで。氷属性と光属性は使えなかったらここに売りに来てくれてもいいよ。」


「わかりました。ありがとうございます。」


残ったお金は金貨1枚だけ。次の神の奇跡の解放には、金貨が4枚と銀貨が8枚いるので全然足りなくなってしまった。


「カインよかったのにゃ?3冊も魔法書を買ったから教会で寄付できなくなったにゃ。」


「いいんだラック。あの魔法屋のおばあさんは始めはちょっと怪しいばあさんだなって思ったけど、丁寧に色々教えてくれた。これから先も何度か行く事になるだろうから仲良くなっておいて損はないよ。神の奇跡も重要だけど、俺は多分どんな魔法も使えると思うんだ。なら魔法を覚えるって事もある意味、神の奇跡に近い効果があると思う。急いで神の奇跡を開放しなくても今の実力でも、まだまだ森でレベル上げもお金稼ぎもできそうだしね。」


「ならいいんだにゃ。じゃあ教会に行って家に帰るにゃ。今日はごちそうにゃ。たのしみにゃ。」


「そうだな。大量に買い込んだんだ。豪勢に行こうぜ。」


「そうと決まれば急ぐにゃ。」


ラックはカインから離れて教会へと駆けて行った。


「おいおい。急がなくても料理は逃げないって・・・行ってしまったな。ははは元気なもんだ。たまにこういうのも悪くないな。早く強くならなきゃって焦ってたけど、魔法屋のばあさんも言ってた通り俺なんかまだまだ10歳の子供なんだ。ゆっくりと焦らずやっていけばいいよな。」


魔法書を手に入れたカインは、残った金貨を握りしめてラックの後を追いかけるのだった。


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