第20話 ゴブリン無双するカイン

ゴブリンを討伐する日が続いたカインは、毎日毎日森に行ってはゴブリンを倒して行った。レベルが上がった事で魔法を使わなくても剣の一振りで倒せる事を知ってからは倒す数もドンドン増えていった。


ラックが仲間になった翌日に倒したゴブリンの数が10体だとすると、その翌日に初めて剣でもゴブリンを一撃で倒せる事を知って10体だった討伐数が、20体、30体、40体とドンドン増えて行った。


(やばい。ゴブリン倒すのって意外に楽しいな。ゴブリンスレイヤーの称号とかついちゃうんじゃね?でも自分のステータスの中に称号って欄はなかったよな。この世界にゴブリンスレイヤーはいないだろうけど、異世界ならドラゴンスレイヤーってみんな憧れるよな?そんな存在はいないんだろうか?ていうか、俺ってこの街の周辺しか知らないけど、この世界ってどんな感じなんだ?貴族とか王様とかがやっぱりいるんだろうか?勇者とか魔王なんかもいるのか?)


いくら最弱の魔物と言ってもちりも積もれば山となる。ゴブリンはほっておくと無限に数を増やすので、ギルドは常に討伐依頼を出している。討伐に対する報酬は一体に付き銀貨3枚、3000ガルだ。日々薬草採取5束で銀貨2枚を一日かけて行っていたカインに取って1体で銀貨3枚は十分すぎる報酬だった。


しかも草原の時のように歩いて探し回らなくても森を少しあるけばゴブリンに遭遇する。しかも複数のゴブリンと遭遇する事も多々ある。レベルも未だ低いカインに取ってゴブリン討伐は、ゲームでいう初回のチュートリアルのようなモノだと思っていた。


ゲームをしていた時も、始めの街で必要以上にレベルを上げて、買える装備は全て購入した上で、無双状態で進んで行くのが好きだったカインは転生した異世界でゴブリン相手に無双できるので日々が楽しくてしょうがなかった。


気付けばレベルは10まで上がり、所持金も金貨20枚を超えていた。


名前:カイン

年齢:10歳

種族:人

神の祝福:アルファベット(寄付金額80000ガル)

※次回128000ガルで神の奇跡解放

神の奇跡:A『如月花院君』、B『名探偵君』、C『戦闘民族君』、D『未来の猫ロボット君』、E『世紀末覇者君』、F『動く城君』、G『美少女戦士君』


能力:D

成長率:SS


レベル:10

体力:D

魔力:D

筋力:D

知力:D

敏捷力:D

耐久力:D

精神力:D

運:D


レベル5の時と比べて能力は耐久力がEからDに上がっただけで、他の項目はどれもCには上がらなかったが、目に見えない上昇感は感じていたので問題はなかった。


レベルが1上がる度に能力の数値が変わるとするとレベル50で全ての項目がSSになる計算になる。いくら成長率がSSと言ってもさすがにそれ程の成長にはなっていなかった。


「カイン。本当に今日手伝ったら明日は休みにするにゃ?」


「もちろん。でも約束忘れてないよね?その為には今日はゴブリン50体倒すって。」


「もちろんにゃ。アタシは直接ゴブリンを倒せにゃいからカインをサポートするにゃ。具体的にはカインの傍でファイトーって元気づけるにゃ。」


「いや。それはいいよ。」


「なんでにゃ。アタシの声援があればきっと能力が2割ぐらい増えるはずにゃ。そしたらゴブリンをもっとたくさん倒せるにゃ。」


(いやいやそれはラックの妄想だろ。今までラックから声援を受けて能力が上がった事なんてないから。)


「とりあえず、俺の邪魔をしないでくれ。それでゴブリンを見つけたら教えてくれ。俺がゴブリンを倒したら耳を切り落とすからその間に他の魔物が近づいてきてたら教えてくれ。これぐらいならラックにもできるだろ?」


「わかったにゃ。それぐらいならラックもできるにゃ。癒し以外の部分でもカインの役に立てるって事を証明するにゃ。それで明日はデートなのにゃ。」


(デートか・・・まあ相手は猫だけど、たしかにラックの言うのも一理あるよな。たしかにゴブリン相手に無双するのも楽しいし、レベルを上げるのも楽しい。お金を稼ぐのも楽しいけど、デートとか街ブラとかも折角の異世界なんだし楽しまないと損だよな。よし。ラックとの街ブラの為にもゴブリン50体。頑張って見るか。)


ラックのやる気が出てきたかどうかはわからないが、カインのゴブリンを倒す速度は一気に上がった。ゴブリンを見つけると単体だろうが複数だろうが、剣を握って突撃し振り下ろす。剣なんて握った事もなかったが、何度もゴブリンを倒す間に自然と慣れてきた。倒したら即座に耳を切り落とし、死体と耳をアイテムボックスに入れる。ゴブリンが死ぬときの叫び声で他の魔物が集まってくるので見つからない様にすぐに移動する。


そうして、カインはこの日50体のゴブリンを倒す事に成功した。称号という項目がステータスにないので、ゴブリンスレイヤーにはなれなかったが、自称ゴブリンスレイヤーだと思いリュックに入れた大量のゴブリンの耳をギルドへと持ち帰った。


もちろん受付嬢のバニーさんには盛大に驚かれた。毎日毎日何十個ものゴブリンの耳を持ってくるのだ。当然だろう。しかも袋の中に片耳がいっぱいって誰が見ても気持ち悪いと思うだろう。


ギルドで報酬を受け取ったカインは、ラックを連れて日課の教会へのお祈りを終えて自宅へと帰るのだった。


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