第5話 口から談義

-二人が出会ってから長い月日が経ちました。

 互いにひとりぼっちだった二人は、いつしか多くの仲間、友人に恵まれ、楽しい日々を過ごしました。

 しかし、未だに赤毛の人間の偶に見せる哀しげな目は晴れる事はありません。

 そんなあり日、カナオニに赤毛の人間は、自分に剣の稽古をつけるよう頼みました。

 カナオニは人間に理由を聞く事をせず、頼みを聞いてやった。

 稽古を受けて、最初は剣もまともに持てなかった赤毛の人間は、次第に剣の腕を上げて行った。

 それとと同時に、人間の表情も徐々に自信が満ちていった様に、カナオニの目には映りました。-



 とうとう辿り着いた、花泥棒であろう『魔法使い』の屋敷の一部屋。部屋の大きな両開きの扉を前に、緊張してベリーは立ち尽くしていた。ここに来るまでに覚悟を決めてはいたが、やはり屋敷の主であろう人物に会うとなれば話は別だろう。

 入りづらかったら俺が代わるかと聞いたが、そこはベリーが意地になり、直接会って話すのは自分がすると言って聞かなかった。まぁベリーが決めた事であるなら、俺が口出し来る事も無いか。

 そしてやっと決心がつき、扉に拳を付けてから力を込め、ノックをした。ここまで来たら態々ノックなんぞしなくても良いと思うが、そこはベリーだ。絶対に譲らないと言う。そして返事が返ってこないのを確認すると、扉のドアノブに手を掛けて思い切り扉を開けた。


 扉の先には、だだっ広い部屋が待っていた。赤い絨毯が敷き詰められ、装飾が施された木製のつやのある家具が壁沿いに置かれ、俺が知る正に豪邸の一室が眼前に広がる。

 そんな部屋の奥中央。これまた大きく豪勢な机が置かれ、その机の席に誰かが座ってこちらの様子を見ている。そいつは俺らが部屋に入って来るのを暫く見てから、椅子からゆっくりと立ち上がり、歩いて此方へと歩み寄って来た。随分と余裕のある振る舞いだなと俺が思っていると、ベリーが部屋に入ってやっと声を出した。


「突然の訪問、失礼しました!私はこの森の近隣にあるまちから来ました、ベリー・ストロと申します!」

「…私はこの屋敷の主にして、森に住む妖精達の頭領でもある、カロンビーヌ・ガードナだ。」


 ベリーは相変わらずの声を張った自己紹介し、頭領である妖精も名乗ったが、それ以降は口を閉ざしてしまった。

 そいつは第一印象で、背がでかい奴だと思った。多くの妖精共を従えている事から、頭領、主も妖精だというのは当然とは思っていた。妖精特有の長い耳に、長く毛先で束ねられた髪は、鮮やかな薔薇色から藍色へと色調変化している変わった髪色をしている。目は冷めた紺碧こんぺきの色をしていた。服は首元さえも見せない肌を全く露出させない重厚な真紅のドレスで、立派な貴族衣装だ。胸元にこれまた鮮やかな黄色の宝石が付いた記章バッヂを着けている。

 そいつは近づいて来ると、ベリーを一瞥いちべつし、大きくわざとらしい溜息を吐いた。ベリーは気にしていないが、俺は少しその様子に腹が立った。いや、本音を言うとすごく腹立たしい。


「誰が来るかと思えば、こんな赤子同然の小娘を出向かせるとは、まちの住民も随分とこちらを舐めている様だな。」


 やっと相手が口を開いたと思えば、出てきたのは悪態だった。何より目だ。完全にベリーを見下し、言った本人が一番こちらを舐めている態度をとっていて更に腹が立つ。

 更にこの頭領なる人物の口ぶりから、やはりこの敷地内、屋敷に侵入者が現れる事は想定していた事の様。こうして目の前にその侵入者が姿を見せても他の妖精共と呼ぶ素振りすら見せない。最早俺らがここに居る事に何の問題も無いと考えているのだろう。


「問題ない?しかし、ナナカさんは本気で私達と戦いました。いても問題ないなら、ほっておくものではないのですか?」


 ベリーは言うが、本当に侵入者を撃退したいというなら、急所への攻撃ではあったが寸止めで、それも一撃喰らっただけで侵入者が奥に進む事を許すとは思えない。つまり、獣人の使用人との戦いは茶番だった訳だ。


「まさか、ルコウさんも!?」


 いや、あれは偶然だ。多分事故で怪我をしたのと同じ事なんだ。


「お前がナナカに勝ったと言う情報は入っていたからな。実力は確かなんだろうが、こんな幼子、いくらでも倒しようがあるだろうに。ナナカも随分と甘い処置をしたな。」


 誰かに対して話しているとは思えない、独り言でも呟いているかの様に自身の考えを口にした。相手はああ言っているが、俺としては条件が運よく揃わなかったら使用人相手も苦戦した、勝てたかどうか分からなかったのだが、頭領としては勝敗などどうでも良いと捉えている様に感じる。


「お前達も単身で来た割には随分と時間が掛かっていたな。おかげでこちらの準備は整った。もう外からの妨害では私が用意した『魔法陣』は壊せない。

 場所を教えてやっても良いが、行っても無駄だぞ。ナナカから聞いた話では、戦闘においては魔法を使いこなせているらしいが、それ以外では魔法を熟知している様ではないらしいからな。」


 あの一回の戦闘でそこまで見抜いていたとは、あの従者はやはり侮れないな。

 それよりも気になる事をこの妖精は口にした。『魔法陣』。それが今回の事件と関係のあるものなのだろうし、厄介なものなのは確かだ。後やはら自信満々なのが腹立つ。

 そもそも何故花を盗んだか、今それを聞く機会なのではないか?そうベリーに伝えると、ベリーは今思い出したとでもいうかの様な表情を一瞬見せ、前の頭領の方へと向き直った。


「えっと、頭領さん!一体なぜまちにある花を盗んだのですか!?」


 ずっと気になっていた事、その答えを聞ける人物を前にベリーは少し緊張していた。声が上ずってしまっていた。言葉に出来、それを当人に届いたかを見守っていると、相手はまた少し間を開けてから口を開いた。


「お前は花を取り戻しに来たのだったな。花を取り戻した後に花をどうするつもりですか?」


 質問をしたはずなのに、その相手から質問をし返された。しかも俺らが目的を無事果たした事を想定した内容だった。俺は嫌な予感をつのらせつつもベリーの答えを待った。


「もちろん!花を取り戻したら、祭りの準備を再開し、花祭りを無事に始めて終わらせます!」


 俺にも分かったベリーの答えを聞いて、頭領は目を伏せて溜息を吐いた。その態度は、俺のものと同じでいて、どこか焦燥しょうそうを含んでいるのは感じた。


「そうであろうな。お前たち外のヒトはその為だけに行動するんだろうな。」


 まるで分かり切っていたとでも言いたげに、うつむささやく様に喋る頭領の雰囲気が、徐々に変わるのを肌に感じる。これは魔法の力だ。

 魔法の他に感じるのは、確かな殺意だ。そしてその殺意が向けられているのが、間違いなく目の前にいるベリーなのは確かだ。


「やはりヒト、人間は変わらない。それが翼を持つ者でも、結局は他のヒトの同じ。丁寧な喋りで私達を持ち上げようと言うなら、私はお前を、そして外のヒトも全て確固としてゆるしはしない。そして、花と言う恩恵をお前達から一切断ち切ってこの森を閉ざす!」


 何を言っているのか分からず、ベリーが呆けているとさっきよりも強い魔法の力が頭領の集まった気配がした。危険を感じて咄嗟に俺が表に出た瞬間、上へとかざした頭領の手に光が集まる。

 それが形を変えて巨大な結晶となり、頭領はそれを放り投げるかの様な姿勢をとったのを見て、俺はベリーの身体を無理矢理こく使して回避態勢をとった。

 そのおかげか、掠りはしたが躱す事が出来た。頭領が魔法で作り出した結晶を弾の様に速く飛ばして、矢よりも威力のある恐ろしい武器となって襲い掛かった。中っていたら唯じゃ済まなかっただろう。それよりも、俺は頭領が何も口にする事無く魔法を発動した事が気に掛かった。


「おいおいまさか、『無詠唱魔法』か?」


 思わず声に出して驚いてしまった。それだけ俺も焦っていた。妙に手強い人間や獣人相手以上にこれはヤバいと思う。

 無詠唱とは、字の通り詠唱を省略して魔法を発動させる高度な魔法技術だ。本来は魔法の詠唱は、声に出して言葉や音で魔法を伝える事で想像させ、対象や空間への魔法の影響を与える為に必要とされる。

 その詠唱を唱えず魔法を使うとなれば、魔法の使用者の『想像力』が試され、多大な集中力が必要となり精神を大きく削る方法となる。つまりは高度なやり方だから、出来る奴の数が限られ、出来る奴はそれ相応の実力者であるという事だ。

 俺も無詠唱を会得しようとしたが、出来なくて結局断念した記憶がある。頭が沸騰しそうだった。

 ベリーの魔法知識や経験は、俺程ではなくとも自衛程度には使えるし基本も熟知している。だが無詠唱はやはり会得する事は無理だと認めており、相手が無詠唱で魔法を使ったと知り、驚きで言葉が出なくなっていた。


「無詠唱が使えるからなんだ?それだけで怯えていると言うなら、今からでもここから立ち去って良いぞ?そして祭りを諦め、中止すると伝えればよい。」


 言いながら、再び手を翳して手に光を集め、あの結晶を作り次の攻撃に備えている。あからさまな挑発に俺は腹を立てていたが、ベリーが俺に替わってほしいと頼んで来たので、大人しく俺が後ろに下がる事にした。

 俺に言ってきた時のベリーの雰囲気が、少し張り詰めていた様に感じた。


「失礼、あなた様の魔法は先ほどの一度で十分実力を持っている事がわかります!戦えば、確実にあなた様が勝つでしょう。しかし、それだけ強い魔法を使えるヒトが、何故ヒトから花を取り上げる事をするのですか!?

 先ほどあなた様は言いました!私たちから花の恩恵を断つと!それは、もう二度と私たちは花を手にする事も、目にする事も出来なくなるという事ですか!?何故あなた様がそんなひどい事を言い放つのですか!?」


 どうやら頭領の発言がどうしても納得出来ず、本人の口から聞き出そうとしている様だ。しかし、問答無用で魔法を放ち、攻撃して来た相手が素直にこちらの質問に答えるのだろうか?さっきだって、こっちの質問にまともに返答せず、訳の分からない応答をして今さっきの様な状態になったはずだ。

 そう考えていたら、どうやら頭領の奴、今度はベリーの質問に答える気らしい。おいおい、今までの俺の思考は何だったんだ?


「…お前は、花を見てどう思う。」


 駄目だ。やっぱり意味が分からない。しかもまた質問を質問で返しやがった。だが、そこはやはりベリーだ。大人しく頭領の質問に答える気でいる。ベリーもベリーで素直な奴だ。


「花はかわいくきれいで、見ていてとてもいやされます!」


 ベリーらしい、率直な答えだ。多分相手も似た感想を抱いただろう。


「そうだ、花とは見た目はそういうものだ。だが、その本質は生命が形を成した、自然の象徴だ。花が咲くのは、自然が保たれている証拠であり、花を愛でる事は、自然にも同等の思想をいだいていると言う事だ。

 だが、実際花を愛でているという事実は事実ではない。ヒトは花を見るだけ、見てそこで終わっている。花を見て何かを感じるという事自体、ヒトはしないまま生きている。」


 言ってからまた結晶による攻撃が襲い掛かって来た。待てよ話をするなら話に集中させろよ!今度は俺が替わらずともベリーが自力で躱す事が出来た。多分俺の動きを真似て出来たのだろう。少し安堵した。


「ヒトは、ただ花の見た目だけを見て、見た目だけで決めて自分らを花と同じ様に綺麗に『見せる』為だけを考え、そして道具として、装飾として花を飾る。花を飾った所で、花と同等の綺麗さを手に入れる訳ではないのにな。ただ自分らの『花を飾る自分』だけを見せる為に、花を道具扱いしているだけだ。」


 魔法の攻撃を止める事無く、変わらずにこちらを攻撃し続けながら話す。


「そして、あろう事かそんな花を飾った後、ヒトはどうする?そもそも花はどうなる。花を土から無理矢理断たれ、栄養を得られずにただ萎れるのを待つだけだ。そして萎れれば、ヒトはそんな花を無残に捨てる。自分の都合で花を摘んでおきながら、萎れて綺麗ではなくなったからという理由でな!」


 だんだんと魔法による攻撃が過激になり、結晶の数や大きさも先ほどと比べ多く、大きくなっている。正に魔法の使用者、術者の意味を反映している。


「ヒトは忘れている、何故草花が土に根を張るのか。ヒトは見落としている、花の美しさと比べて、根がそれ以上に泥にまみれながらも強く成長している事を。

 私は赦しはしない、草花も生きていると言いながら、自分の都合で花を生かして捨てるヒトの行いを、私は見過ごしはしない。決して、ヒトに花を触れさせはしない!」


 地震の怒りを言葉に、大きく演説して見せて魔法を発動させる。なんとも傲慢な思考だ。今言った頭領の台詞も、結局は自分自身の都合に過ぎない。それをただ祭りの準備をしていたまちの住民共に押し付け、結果こんな勝手な事件を起こした。


「…何故今なんです?それだけの事を考えていたのはつい最近のことではないのでしょう?なぜ今になって、妖精に花を盗ませたんですか?」


 それは確かに気になる。いつからそんな考えをし始めたかは知らないが、妖精ともなれば最近の事など一分前の事と同義だ。あれだけ強い怒りを抱いているのなら、長い時間を費やしたと考えられる。

 それだけの長い時間、花を盗むと言う事件を起こす事無く、一体何をしていたというのか。ここでまた嫌な予感がした。無詠唱魔法を使えるだけの実力を持ちながら、やった事が花を盗むだけ?本当にそうか?


「確かに私は永い時間を過ごした。そして永い時間を掛けて、私は今までぞんざいな扱いを受けた花をどうすれば救えるかを考えて来た。そして今日、やっと完成させた。

 『永久保護の魔法』、これを開発し発動出来るところまで進めれた。後は集めた花を媒介ばいかいに魔法を発動するだけだ。

 土中に根を張る植物同士の相互接続ネットワークを通じ、連鎖的に地上全て花を保存魔法で集め、ヒトの手から切り離し永久にヒトの世から断つ。」


 まさか計画を簡単に口にするとは思わなかったが、とんでもなく無茶な計画だった。つまりは世界中の植物を一か所に集め、そうしてヒトの世界から緑を無くすというものだ。それはあまりにも無謀な魔法ではないか?

 生き物にとって植物は生きて行く為の糧の一つだ。それを失ってしまえば、明らかに全ての生き物の生態そのものが大きく悪い方へと変わる。最早事件と言う言葉の枠では収まらない事態だ。


「そんな…それではヒトだけではない、動物だってただではすみませんよ!?」

「森の外でヒトと共に生きる動物は既に穢れた存在だ。最早私が手を下すまでもない。私は私が救えるだけの者を救うだけだ。」


 次に口を開いて出たのは理不尽な見放しだ。こいつにとって森の外は害悪に侵された環境以外何物でもないらしい。何より目が俺らを見ている様でまったく目に入っていない。つまり眼中に無いって事だ。

 俺らを屋敷の中に招くような体制だったのも、この事を外に奴らに知らしめるためなんだろう。自分からベリーにそう言っていたわけだし。あの様子では、もうこちらの説得など聞く耳無いだろう。

 だが、俺はここで終わるとは思っていない。何せ、今この場に『こいつ』がいるのだからな。このまま魔法を喰らって倒される事でも、このまま引き下がって草花を失った生活を送る事も選択肢に入ってはいない。


「スパイン、ここは私一人で任せてもらってもよろしいですか?」


 わざわざ俺に断りを聞いてくるあたり、本当に律儀な性格だし、もう聞く必要なんて無いはずだ。


「はい!私はもう決めています!花を取り戻して祭りを無事開催する事も、誰一人としてきず付ける事なく事を終わらせる事も、私は成しとげて見せます!」


 表情も信念も決して曇らせる事無く、ベリーは頭領を真っ直ぐに見て姿勢を正して高らかに宣言した。

 だが、むしろベリーは良いのか?お前は戦う事を嫌い、極力戦う事を避けてそれを俺が代わりに受け持っていた。そんなお前がいざ戦うとなれば、心身がまともに動くか分からないぞ?そんな分かりやすい挑発染みた事を聞いたが、ベリーの意思が変わる事は無いだろう。


「スパイン。私は戦いがきらいなのでは無く、ヒトを傷つける事がきらいなのです。だから私は、この戦いを互いに傷つける事無くおわらせて見せます!」


 自信に満ちた、いつも通りのベリーの声が響き、ベリーは相手の頭領同様に魔法の発動態勢となった。


     2


 頭領は再び魔法を発動する。無詠唱故に次にどんな魔法を使うか分からない。どんな魔法か分かっても、それを対応する術がなければ無防備であるのと変わりないが、無詠唱はその考察するいとまさえ与えない。

 次に発動した魔法で出現したのは、今さっき出した結晶よりも細く矢の形をした結晶を幾つも出ていた。それが宙で矢をつがえた様に尖った先をこちらに向け、端から順に速く飛んできた。

 ベリーの飛行速度でも躱すのがやっとで、それ以上の行動も反撃も出来ない。その時ベリーの目に留まったのは、部屋の壁際に置かれた重厚な円状の卓だ。そこまで飛び、その卓を倒して盾代わりにした。いつものベリーなら、ヒトの家の物を勝手に触れるのを嫌がるが、そんな事を言っている場合ではないと、さすがに思ったのだろう。

 盾代わりにした卓は確かに重く、丈夫なのだろうが、あの頭領の魔法の前ではそんな物でも簡単に崩れる障害物にしかならなかった。だが、卓を盾にした時間で、十分時間を稼げた。


「我が空想を糧に動く現よ、わが障害をうけ止めよ!」


 盾代わりの卓の後ろに隠れた瞬間に詠唱を唱え、無事魔法を発動する事が出来た。この魔法は外の庭で戦った庭師が使った魔法の派生元で、属性を持たないものだ。自身の想像力をもとに魔法で物質を作り出し、相手を拘束するものだ。

 出来る物質は、術者の想像によって形を変える。縄であったり、石だったりする。ベリーが魔法で出したのは、まさかの鎖だった。ベリーが丈夫な物を想像したからか?

 魔法の鎖は生き物の様に素早く動き、頭領に向かって行った。当然その鎖を頭領は視界に入れていた。


「なるほど、確かに相手を拘束すれば、どちらも傷付く事無く戦いを終えるだろう。しかし、そもそも捕まえられなければ意味は無い。」


 頭領が言った事はその通りで、鎖も細くて簡単に力自慢な奴の手で千切れてしまいそうな程丈夫には感じなかった。そんなベリーの魔法を嘲笑うかのように、頭領は魔法でその鎖ごとベリーを巻き込んで攻撃しようとした。

 その瞬間、頭領の魔法の結晶が何かに阻まれ止まった。それはベリーが魔法で出した、あのか弱い鎖だった。鎖の穴に結晶が入り、上手く傾けて結晶の飛ぶ力を打ち消した。

 まさか自分の魔法を受け止めるとは頭領も思っていなかった為、かなり驚いていた。正直俺も驚いていた。しかし、ベリーだから出来た事なのだと気付いた。

 ベリーは敏捷力びんしょうりょくも高いが、反応速度も速い。体はまだ未熟で動きが頭で考えるよりも着いて行けないだけで、実は目だけで追ったら誰よりも速い。

 あの獣人の従者の動きも、実際姿を捉える事が出来ていた。俺に替わると途端にその反応速度が落ちてしますのは、良く分かっていないが俺自身の力に引っ張られる為だろうか?

 とにかく、視力も良いベリーは、狙って鎖の穴に飛んできた結晶が入る様に鎖を操り、そして攻撃を防いだ。相手を拘束するのでなく、魔法を拘束するとは、戦い慣れしてはいないが、工夫の出来る奴だ。

 頭領は再び結晶の矢を幾つも飛ばすが、ベリーはそのほとんどを鎖で受け止めて落とした。受け止めきれなかった結晶の矢は、ベリーの横を掠り、床や壁に刺さって消えた。

 金属音と結晶がぶつかる高く鈍い音が暫くの間響き、次第に音がしなくなり、打ち落とされた結晶が全て霧散し、ほんの少しの間部屋の中は静寂と化した。


「…戦いに慣れた手つきをしていると思っていましたが、成る程…身を守る事には特化しているという事ですね。でも、自分を守るので精一杯では、戦いを終える事は出来ませんよ?」


 こっちだって頭に解っている事を改めて口にされ、俺は腹が立ち、ベリーは少し困惑していた。俺自身も無詠唱魔法を使う奴を相手するのは初めてである故、未だ分析している最中だ。ベリーにとっては不得手で正に難題だ。

 だが、そこで言い返せずともベリーは諦めはしないだろう。今頭を絞りに絞って案を出そうとしている。互いに無傷で終わらせると宣言した時点では、案も何も無かった事についての指摘は野暮だが、言ったからには成し遂げてもらわなくてはならない。

 だがそれよりも早く頭領は動く。無詠唱の使い手である以上先手を撃たれるのは決まった事だ。今度は前に手を翳して念じだした。俺は察して直ぐにベリーにとにかく動き回れと言った。

 次の瞬間、床から結晶の柱が突き出て来た。まるで波を打つようにして巨大な結晶が床から出現し、しかも追尾する型の魔法で、結晶がベリー目掛けて出現して来る。目をつぶっていても中る魔法という事だ。

 そんな魔法が襲い掛かる中、ベリーは広くはあれど室内故に高さや範囲に制限のある場所で、懸命に翼を動かして結晶から逃げている。

 だが、結晶は床からだけではなく、天井や壁からも落下するかの様に、壁ごと貫いたかの様に出現した。そこでベリーは不意を突かれ頭に結晶が中った。直撃ではなかったが、出血してしまい目にかかって視界的に不利が生じてしまった。ベリーも悲痛な表情を浮かべつつも流血が少ない事が幸いし、飛び回りつつ血を手で拭った。

 それ程酷い損傷ではなかったが、一撃喰らって肉体だけでなく精神的にも負荷が掛かったらしい。腕に力が入らなくなったのか魔法の鎖が床に落ち、徐々に飛行速度が落ちていった。


「やはり、お前がどんな心境であろうと、それでこの戦いに変化をもたらす事は無い。相手に傷を付けないという事は、戦意が無いのと同じ。そんなお前がこれ以上この状況に身を置く必要があるか?」


 傷を負い、明らかに疲労が見られるベリーに対して頭領が語り掛けた。今度は慈悲ともとれる雰囲気が含んだ言葉に、先ほどの怒りが逆に複雑な心境へと変えさせられる。

 曰く、妖精種である自分からすれば、どの種族も幼子同然だという。そんな相手に長期戦を持ちかける程自分も無慈悲では無い。ここを引き返し、今回の事をまちの住民に伝えれば無事に返すのだと言う。


「聞けば、どこかの種族は戦争により故郷を追われ、不毛の土地へと追いやられたという。その種族は限られた資源を活かし、持ち前の体力と精神力をもって行き抜き、土地を開発して今も生き続けているという。

 ヒトの中にはそうして環境を変えつつも生きている者も少なくない。きっお前らが植物の恩恵を失ったとしても、その種族の様に数は減れども生き残る事も出来るだろう。」


 だから諦めて引き返し、こちらの計画を邪魔するなと言いたいのだろうが、それは俺に言っても無駄だろう。もちろん、ベリー相手なら尚更だ。

 どんなに形を変えて語り掛けたとして、ベリーの決意は揺るがない。今怪我を負って体力が削られていても、負けを認めてこのまま引き返す事は絶対にしない。

 現にベリーはまだ飛んでいた。床に降りて降伏出来る機会なのに、それをする気配が全く無い。頭領もその姿を見て察したのだろう、少し間を置いてから息は吐き、再び魔法を放とうと手を翳した。


「これだけ言ってあなたは飛ぶのを止めないのであれば、もう容赦は無い。次は確実に討つ。」


 今までの魔法がまるで子どもの遊びとでも言いたいのか、魔法の力を凝縮していくのが気配で微かに感じた。今までの魔法だって十分強いと思ったが、あれ以上にまだ何かを使えるとなれば、予測出来ない。

 ここで表に俺が出ていて、ベリーが表に出たがっていたら断っている状況だっただろう。ベリーでは絶対に相手出来ないと俺が決めつけ、後ろに下がらせて俺が無茶な行動をして、なんとか身体だけを無事に済ませあれこれと卑怯な方法で相手を討っているところだ。

 しかし、不思議と今回はベリーを無理矢理引っ込ませようとも、俺が表に出ようとは思わなかった。ベリーであれば解決出来るだろうと不確かな信頼があった。

 俺は基本、他人を信用しない。他人の力を借りる事も、他人と手を組んで戦うのなんぞ絶対にしない。ましてや、他人に戦いを任せる何てことしない。

 しかし、ベリーの身体でベリーと共に生きて、何かが生じたという事になるのか。それを確認する為に、俺はベリーの行動を最後まで見守る事にした。


「スパイン!あなたの戦い方から私は学びました!私はいつまでもスパインの手をわずわせるわけにはいきません!必ずカロンビーヌさんを止めます!」


 ベリーも決意を改め、声を大にして意を決し頭領へと向かって飛んだ。そのベリーの行動にも意を返さ事無く、頭領は魔法を発動した。

 今までの結晶の形とは違い、明確な物体としての形をとって行く。それは両刃の大剣の形へと留めていった。俺が出せる武器と比べれば大きく、俺でもあそこまで巨大な武器は顕現出来ない。

 あれだけ大きい武器だと、大振りとなり隙が生じるだろうが、それは実体のある物の話だ。魔法で形作った者であれば、主さも使用者の思うままだ。何より無詠唱の使い手であればそれも容易いだろう。

 そんな頭領へと向かってベリーは飛んだ。これで魔法の剣を振るえば確実にベリーは討たれる。まだだ。

 まるで魔法が掛かった様に、見えるもの全ての動きが遅く動いて見えた。ベリーは頭領の剣の魔法の射程内に入った。だがまだだ。後少し。

 頭領は剣を構え、今一歩踏み出せば振り上げた剣を下ろし、ベリーに中てる。そしてベリーも『合図』を出して、『それ』は再び動いた。

 『それ』は頭領の腕に絡みつき、頭領は驚き振り上げた腕を見上げた。そこには自分の腕と自分の魔法で顕現した剣、そしてベリーの魔法で作られた『鎖』だった。

 この鎖を頭領は当然覚えていた。しかし頭領は、それがベリーの手から離れるのを見て、その鎖は魔法の力を失い自然消滅するだろうと思っていた。

 しかし、鎖は消えるどころか残り、この機会をもって再び頭領の障害となった。本来なら気付けたであろう事を頭領は見逃した。見逃すだけでなく自身が魔法を使う障害へとなってしまった。

 それは小さく弱い魔法の鎖だ。だから頭領の手であれば簡単に解除出来るだろうが、今は魔法を発動している最中だ。注意が逸れれば集中が切れて魔法が崩れてしまう。

 何よりも、もうベリーはすぐそこ、目の前にいた。だがそこで頭領は焦りはしなかった。確かに目の前まで迫ってきてはいるが、相手は丸腰だ。鎖は自分の腕を縛るのに使っているし、相手にだってもう魔法を使う余裕だって無いはず。近づいたところで何になると、頭領はそう思った。だが、そう思った時点で統領は負けていた。

 ベリーは眼前に頭領の姿を捉え、自分の左手の掌を頭領の方へと向けた。掌には何時の間にか魔法陣が描かれていた。ベリーは自前でペンなどある訳が無く、インクだって無い。だが、インク代わりになるものはあった。

 血だ。あの時、頭領の魔法を喰らい怪我を負って、流血したのをベリーは自分の手で拭った。その時の血を使った。

 ひとえに頭領は油断をした故の状況だ。自分を止めたに来た相手が人間の子ども。自分ら妖精から見れば、ほとんどの種族は子ども同然ではあったが、確かにベリーは若いどころか幼い。そんな相手が来たのだから、妖精の頭領は身構えつつも油断した。

 そして戦い、こうしてじぶんが有利である様に見える状況であったが為に、油断した気持ちが無くなる事はなかった。

 誰もが経験する敗北。その原因は様々だが、もっとも多いであろう敗北の理由、それは油断だ。油断したが故に準備を怠り、出来る対策を行わず、そして目の前の相手を逃し、そして自分が討たれる。

 頭領の現状もそうだ。油断したが故に鎖を見落とし、ベリーの接近を許し、相手は丸腰なのだと思い込んだ。正に追い込まれる状況を自分で作った、因果応報だ。

 頭領は振り上げた魔法をやむなく中断し、剣を消して接近したベリーに備えよとしたが、まだ鎖が健在だった。鎖対処をしている間にベリーは必ず自分の掌に描いた魔法陣で何かをする。

 如何に優れた魔法使いでも、出来る事は限られる。自分の意識が一つである以上、向けられるのはベリーか鎖の解除か。選んだ時点で統領は手番をベリーに譲る事になる。最早頭領はそこで万事休すだった。

 そして、ベリーもまた躊躇ちゅうちょする事無く魔法陣を発動した。

 発動して、起こった事は一つ。魔法陣が描かれていたベリーの左手が頭領の体に『くっついた』。それだけだった。


「…待て、これは一体どういう事だ?」


 声は静かだったが、その声色に困惑と同時に怒りが込められているのを俺が確かに感じた。そりゃあそうだ。今さっきの状況は正に一騎打ち、そしてその一騎打ちが決すると思った矢先にこの訳の分からない自分と相手の状態だ。誰かに訳を聞きたくなるのも当然だ。

 後俺も知りたい。何故ベリーは『接着魔法』を使用したんだ?


「それは、私とカロンビーヌさんが一体化するためです!」


 もっと訳が分からなくなる返答が返って来て、俺も頭領も頭を抱えた。俺は一体何を目的に魔法を使ったのかを聞いたはずが、答えを聞いて更に混乱するとは思わなかった。ベリーは俺らの事を気にせず話を続けた。


「今もし私が攻撃を受けたとしたら、すぐそばにいるカロンビーヌさんにも攻撃が行くという事です。つまり、こうする事で私たちは実質一体化した事になり、これでお互いどちらも攻撃出来ないという事です!」


 まさかそういう発想で来るとは、ある意味接近出来た時点でそれは成功しているとは思うが、果たしてそれでこの事態を解決出来るか疑問だ。しかし、考えてみたら、今接近しているのがベリーである事が、この作戦の要かもしれない。

 一方、何故か侵入者が自分にくっつき一体化したと言い、未だに状況が呑み込めず困惑と怒りで体を震わす頭領は、苦々しい表情をしてベリーを見ていた。それもそうか。自身がまさか一人のヒトに意表を突かれたという事と事実にかんしているのだろうが、それ以上に気にしているベリーの手に描かれた血の魔法陣だろう。

 妖精というのは、結構繊細な生態の種族だ。生き物から流れる血に過敏で、血を『けがれ』だと捉えている為、そういった理由から他者との交流や戦闘を好まない。特に妖精種だけの住む里や森で育った奴はその傾向が強く、この屋敷に住む妖精や頭領もそうだろう。

 そもそもベリーが血で魔法陣を描いたのは、本当にそうするしかなかったからだ。俺が居候の人間戦った時に書いた魔法陣はまちで見た『ほうこん』を利用したものだ。魔法を実体化せず、魔法を使った跡だけを残す、魔法を普段から使い慣れた奴のちょっとした裏技の様なものだ。

 一方ベリーは経験の不足から、魔法の力で魔法痕だけを出すという方法がまだ出来ない。だから物質としてある血をインク代わりにする以外方法が無かったという事だ。

 そして更にこれはベリーに知らない事で、俺と恐らく頭領が知っている事だが、実は血を媒介に魔法を使うのは最も強力な呪術の一種だ。強い上に血を使っているから、あの頭領も直ぐに魔法を解除出来ず難儀しているんだろう。

 後、字から見て分かる事だが呪術は違法の魔法だ。知識不足と緊急事態とは言え、それを使ってしまったベリーがそれを知ったら最後、申しわけなさなどの感情で気絶していただろう。ベリーの精神と余裕が保つまで言わないでおくつもりだ。

 ともかく、魔法陣で接着状態となり、頭領もどうだが恐らくベリーにも剥がす事が出来ないだろう。多分いざという時は俺に任せるつもりなのだろうな。

 そんな膠着こうちゃく状態で進展しないと思われた中、実はベリーの侵攻はまだ終わっていなかった。


「これはある旅のご老人から教わった方法、誰も傷つけず戦いを終わらせる方法の一つ!」


 そう宣言した後にベリーがとった行動は、くすぐる事だった。そう、接着していない方の手でベリーは頭領の脇腹を凄い速さでくすぐり始めた。

 突然の事で一瞬だけ何が起こったか理解出来ず凝固した様に体を動かさずにいたが、くすぐられていると理解したほんの数秒後に声を抑えつつもくすぐったくて体をくねらせた。

 さすがは妖精共の元締めと言う立場をしているだけあって、無様に笑う姿は見せまいと我慢しているのだが、その為にくすぐってくるベリーを止める事が出来ず、立ち往生してしまっていた。

 更に、くすぐられて集中出来ない事もあり、接着魔法の解除も出来ず、泥試合にもなっている。一体こんな状態にしてベリーは何を考えているのか。

 曰く、笑いはどんな争い事も治める事の出来るのだと。それでこんな状態になればもう大丈夫なのだと言いたい様だが、さっき言った様にこの試合状態でどう見れば解決となるのか。ベリーからして見れば、もう互いに傷付け合わずにいるから良いという事なのか?

 確かに頭領はくすぐられて魔法も使えない、抵抗も出来ない。このままの状態でいけば向こうから降参してくれるかもしれないが、あれだけ固い意思を見せてまで起こした事件の張本人が、ただくすぐられた位で降参するだろうか?

 現状ベリーが表に出て、ベリーは現在頭領に引っ付きくすぐるのに忙しそうで、俺からはどうする事も出来ない。これは一体何時になれば終わるのか、俺も困惑してきた。

 そんな泥仕合が続き、ベリーも頭領も互いにへばって床に膝を付けて息も絶え絶えになった。最早戦意なんてものは微塵も無く、頭領は怒る事も出来ずにいた。ベリーの方はほとんど動いていないから、少し休んだらまたくすぐり出すだろう。


「ぜぇ…ぜぇ…いっ、好い加減…に、しなさい!…はぁ…こんなっ事、続けて、何に…なると…はぁ。」


 さすがに可哀そうに見えてきて、俺が好い加減表に出ようかと思って来たが、ベリーがまだ続ける気でいるのと、何か喋る気でいるのに気付き、黙った。


「私は離れません。」


 ベリーも無理な体勢でいるからか疲れてはいるが、両腕で頭領に抱き着く形になりつつ話を続けた。


「カロンビーヌさんに、やらねばならない事があるのはわかります。しかし、私にも成さねばならない事があります!そのために、あなたの計画をじゃますると分かっていても、私は一歩も動きません!そして指一本だってあなたから離れません!私は、あなたが参ったと言うまで諦めません!絶対です!」


 疲れた状態で声を張り上げた為に、言い終えた後思い切り息を切らしているベリーを見て、歯を食いしばる様子の頭領。これは互いに譲らない態勢だ。本当にここから何か進展があるのかと不安が過った。

 そう考えている最中、突然頭領が何かに気付いたかのように顔を上げ、あからさまに驚き狼狽える表情に変わった。


「なっ何を…なっ!?何故だ!そんなことをすれば…あぁ、判った。」


 まるで誰かと話している様な台詞から、恐らく交信魔法の類なのだろう。一体頭領は誰に何と言われたのだろうか。さっきから困惑の表情だったり、納得のいかないと言いたげな苦悶の表情ばかりしている。傍受魔法でも覚えれば良かったな。

 そうして一通り話終えたのだろう、こちらを見て今度はベリーに話し掛けた。


「…戦いはお前の勝ちだ。お前を庭園に案内する。そこでお前には『ヒト』と会ってもらう。大人しく着いて来てもらうぞ。」


 突然の降伏と謎の道案内に、今度はこちらが意表を突かれたが、戦いを終えたからと事が済む様には感じない。何より目に見えて頭領の表情が不満に満ちた表情をしているから。

 ベリーの方は完全に頭領が言った事をそのまま鵜呑みにしており、さっきと比べて気の抜けた雰囲気になっていた。ベリーはこういう所が実戦慣れしていなくて危なっかしいな。

 そんな一戦終えた雰囲気の中、俺が今一番気になるのは、さっき頭領が口にした『ヒト』と指された人物だ。もしや交信魔法の交信先の事だろうか。

 一先ず、頭領との戦いは中途半端ではあるが、ここで終わりという事になるらしい。だが、まだこの花盗難事件はつづいている。その証拠に、頭領の目からは、まだ何かを諦めていない、そんな気配を感じた。

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