第19話 2回目の動画投稿
「ホタルちゃん、動画出来た?」
「で、出来たは出来たんですけど、ちょっと恥ずかしくて……」
バーチャル部室に入るとキラ先輩とホタルが話していた。どうやら作り直した二つ目の動画が出来上がったらしい。
「こんちゃ。動画できたの?」
「ええ……」
「クマちゃん先生が今日は会議でいないし三人で確認してしまおうか!」
それに頷くホタル。画面から動画ファイルを選択し、タップ。サムネイル画面にはホタルのアバターと、俺が師匠と向かい合ってるところが映っている。
「ホタルちゃんは毎回サムネが凝ってて偉いな!」
「えっと、キラちゃんのサムネイルをすごい参考にしてて……」
「あ、えへへ……」
女子が二人とも照れてる。そういやホタルがゲーム同好会に入ったのは、あかね先輩がキラって気付いて声をかけたのが最初って言ってたなぁ。
元々ファンだったみたいだし、そう考えると憧れの人と同じ部活、じゃなくて同好会に所属できてるのってなんか良いな。
「じゃあ再生しますね」
「うむ!」
再生ボタンをタップし、動画が流れる。ホタルが前回のあらすじを含んだオープニングをセリフとして入れている。
その後はホタルのアバターが画面の横に表示され、ダイジェストで流れる俺のプレイ映像を説明して進んでいく。
何回か練習したのか、ホタルのセリフは聞き取りやすい速さで、わかりやすく俺のプレイを実況してくれていた。
内容としては師匠と遭遇し、大剣と大盾を持った俺がボコられ、修行パートに突入と言ったところ。
動画時間は10分と前回に比べて短く、片手間での視聴が出来るようになっている。
「凄い、めっちゃ面白い。台本とか書いたの?」
「ええ、ドーンくんのプレイの邪魔にならないよう、それなりに撮り直したわ」
「さすがホタルだ」
固まってるキラ先輩を横目に、ホタルを褒める。褒められて嬉しそうにしてるホタルがこれまた可愛いんだよな。本人には言えないけど。
「キラちゃん、どうですか?」
「んぇ、ああ、動画は完璧。ただ次回からもう少しアバターを下に下げても良いかな」
「わかりました」
「ツッコミたいのはこのゴブリン、えっとドーンくんの師匠だね」
「ゴブリンっていないんですか?」
「いやいるんだがな? ただ討伐対象のモンスターとしてだから、こんなNPCはいないな。それにこの【覚醒者】 は見たことがない」
そう言って一人考え込むキラ先輩。クマちゃん先生がいれば二人で相談していたのだろうが、今日は会議でここにいない。
「まあ大丈夫だ! 早速動画を投稿しよう」
「はい」
ホタルは返事をするとすぐに動画を投稿した。初めての時はあんなに緊張していたのに、今ではもう慣れたものだ。まだ二回目だけど。
動画を投稿すると、すぐに視聴回数が増えていく。チャンネルを登録してくれた人が通知を受け取ってくれたのだろう。
「にしても早いな」
「登録者数ももう4,000近いしな。前回の動画も25万再生目前だぞ?」
そう言われてすぐにホタルのチャンネルを確認する。見るとキラ先輩の言う通り、チャンネル登録者数は前に確認した時の倍になっており、動画の視聴回数もまだまだ伸びていた。
「すげえ、ホタルの編集が良いからだよな」
「ドーンくんのゲーム画面が面白いからよ」
「はいはいイチャイチャしない。今度からドーンくんのR2O内で起こった事はすぐに説明してくれ。プレイヤー全員に役立つ情報があるかもしれぬからな」
「わかりました。ドーンくんのゲーム画面を見ながら私がメモを取っておきますね」
「うむ助かる。それでは私はR2Oにログインしてくる。二人も自由にゲームをしてくれたまえ」
そう言ってキラ先輩はフレンドルームから退出。したら俺もR2Oにログインしようかな。
「俺もR2Oやるけど、ホタルは?」
「いつもと同じようにドーンくんの事を見てるわ」
「おっけ〜」
確か今日は狩りをするって言ってたっけ。罠設置が役に立ってると良いな。
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