カウンセラー代わりにされるのは嫌ですが、そんな顔されるとオレが我慢出来ないので貴方の心を覗かせて頂きます

無名乃(活動停止)

皆、見えると思ってた

 幼い頃からオレの家系は昔の風習が少しあり、お盆や記念日があると親戚揃って二十人近くが集まっていた。大人に囲まれ、子供がいなく“偉い子”でいないといけないと変に考えていたからか――その人の感情が見える。正式にはオレに伝わるようになった。今は見えないがオーラもバッチリ見えたモヤモヤとした色が。それから小中高と大人に囲まれたことから同い年との付き合いがわからず無口なことからイジメ。高校でやっと少し友達が出来るも【隠してきたこと】をやってから

 面倒くさくなったオレは「一緒に行こうぜ」と唯一優しくしてくれた友人を裏切って知り合いのいない大学へ。とはいえ、就職に関しては何も考えてなく「働けるなら」と軽い気持ち。


「行ってきますって……一人暮らしだっけ」


 親に頼んで隣の県の大都会に引っ越し、苦手な混雑する電車で通学。初めの数カ月は誰とも話さず学業に取り組んできたが今となっては――「よっ、おはようさん。どうだ、今日こそ見抜けないだろ!!」と大学の最寄り駅でたまたま声かけた同い年の翔太しょうたが仁王立ちで待っていた。


「なにその……バカ丸出しの言葉……」


「いやいや、真剣なんだって!! 俺の知ってる限り陰キャ1位のお前がそんな能力があるなんて――」


「能力じゃないから」


「そこは自信持てよ」


「アンタに分からないだろうが確実に当てるわけじゃない。アンタが分かりやすいだけだ」


 改札前で立ち話をするや迷惑そうに避ける人達の気配にオレは歩み出すと「なぁなぁ、サークル作らねぇ? どうせ入ってないだろ? 俺は社交的だから入ってるけどさ」と簡易に切り出す言葉に静かにガン飛ばす。


「オレと関わるの辞めたら、アンタ嫌われるよ」

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