第4話 恋は孤悲
今日は、私の休日だ。
料理、洗い物、洗濯、掃除に寝かしつけ
全てやってもらい、私は昼寝し、ゴロゴロし、気分が乗れば子供と遊び、疲れれば寝る。
めちゃくちゃに、我儘に甘える。
やりたいように、望むままに
ここまで好き放題してまだ足りない。
アイツにかまって貰えていないのだ。
子供が寝た後、スーパヘ、半額シールの生ハムとカットフルーツにカキを買い足す。夕飯の鍋にコメとカキが1対1の贅沢雑炊だ。
もちろん作るのは私ではない。
雑炊の出汁の香りを嗅ぎながら
風呂を洗って沸かして、パック顔。
秋祭りのおすそ分けのビールを片手に、2人で話す。
私は今でも恋してる。ここまで満たされても、目の前に求め慕う相手がいるのに私の方を向いていなく、子供にすら嫉妬するという。寂しいお昼を過ごしたので、いまから充電するのだ。
アイツに上機嫌な私の晩酌を務めてもらっていると、私の秘密の書籍に描かれた男同士の関係に異議を唱えた。
「おまえのアレの友情は友情じゃないぞ」
片方の眉をピクリとさせて聞き返す。
「そんなの人それぞれでしょ」
「その通りだが、俺の考えを聞いてほしい」
上から目線でこう返す。
「よろしい、では聞こう」
アイツは赤い顔でカキ雑炊をうまそうに啜り話し始めた。
「俺には親友が何人かいるが、今はてんでバラバラで、直接会えたらウン年ぶりのやつらばかり、一番近いトモミにだって2年ほど会ってない」
「せやね、トモミさんにマスカットのお礼まだ送ってないから、自分でなんか見繕いや、服のおさがりで渡せそうなイイ奴、もうないからな」
「もう送った、今回は干し肉にした。で、そんなけ会ってなくとも、トモミと俺にはリアルな男同士の友情があるわけよ。前キャンプしたとき、バーベキューの肉を串で食べさせ合うぐらいは普通にある。えらい喜んでたが、あれは普通の範囲や」
「えーでも、あの爽やかさで、楽しそうに肩を組んで食べさせ合うとか、なかなかええ感じでした。ありがとうございます」
「で、なにが違うか言うたら、そばにおらんでも、俺もトモミも困らんし、普段トモミに想いを馳せることもないわけよ」
「えー、毎日トモミから連絡とか来たらうれしないん?」
「毎日いうたら、寝る前の「おやすみ」とか送られるんやろ、なもん100で無視するわ」
「えー、冷たない?」
「でも、もし困ってると連絡受けたら、場合に寄っちゃ仕事も家も置いて、飛んでいくかもなと思えるのが親友や」
「へー、そこは熱くてええね」
「で、お前さんがえー、えー言うてる数だけ、理想と現実には違いがあるよと言いたいねん、もちろん、俺の場合はとしかいえんけどね」
なるほど、友情は恋というか
まあアイツは私に恋してるわけで、私もアイツに恋してるので、それでよしとします。さすがに今日は、ピロートークがなくても、お腹いっぱいなのだ。
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