第2話 ホットケーキ

 ホットケーキみんな大好きホットケーキ


 私も大好きだ。

 このホットケーキを焼く時だけは、みんな私を崇めるように褒めるのだ。

 その上安い。

 

 起きてきた子供たちに、朝ごはんがホットケーキであることを告げると

 「ママ僕が混ぜてあげる」「粉入れるだけなら僕もできる」「牛乳無くてもできるん?」

 それぞれ、積極的にお手伝いをする気満々な雰囲気を出してくる。

 それより、おもちゃを毎晩しっかりお片付けして欲しい。


 今回は、4年生の長男に指揮を託す大冒険で、何もしないでホットケーキが出来上がる大作戦を実行する。

 長男がフライパン、ボールに計量カップ、食器とフォークとナイフまで準備する。 

 次男三男は粉入れ水入れかき混ぜてお玉で掬ってフライパンに流し込む。

 仕上げは長男がじっと焼かれる生地を眺めては、ぷつぷつ上がる泡を見切ってひっくり返す。


 むろん、粉は舞い散り、ダマになってもお構いなし、生地はポタポタとフライパンのへりに落ちては焼けてこびりつく。一枚目は火が強く入るといっても聞きはしないし焦げまくる。私が食べなきゃいけない分なのに。

 気づけばシロップは全部生の生地に入れ込まれてしまっていた。まあ、賞味期限の怪しいジャムでおいしく食べれたんだけどね。


 スーツが似合う美化した息子たちに囲まれホットケーキを給仕してくれる日を夢見れば、台所の洗い物だけでなく、リビングの掃除機掛けまで終わってしまうものなのだ。

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