第5章 監視対象・陸 春輝/邂逅~決着への道程

~公安調査庁にて~

春輝「ここのトップに会いにきたんだが」

受付「どちら様ですか?」

そう言われ、春輝は身分証の手帳を見せる

受付「え!?配信部特命係!」

春輝「そうです」

受付「承知しました。ここのトップである、天川氏の弟さんですよね?」

春輝「それをどこで?」

受付「庁内の社員全員知ってますよ!」


春輝「え!?そんなに有名なの?」

受付「ここの庁内だけですよ!」

春輝「なるほどね」


受付「アポとれたので、エレベーターで8階まで行ってください。突き当たりにトップがいらっしゃいます」

春輝「ありがとう」


~庁内8階管理監室にて~

春輝「こっちの世界では、久しぶりだね」

照彦「そうだな。で?要件は何だ?」


春輝「単刀直入に聞きます。今回の件、裏で糸引いたのはあなたですか?」

照彦「なるほど、そういう事ね。違うよ、俺じゃない」


春輝「じゃ、誰が?」

照彦「森山委員長だよ」

春輝「どうして、知ってるの?」

照彦「今回の一件の決着を着けたいのだろうが…それは不可能に近いぞ」

春輝「どうして?」

照彦「どうしてって、森山委員長がこの一件を仕組んだ張本人だからだよ」

春輝「じゃ、殺人も!?」

照彦「殺人に関しては森山委員長は無関係だと思うぞ」

春輝「どうしてそう言い切れるんだ?」

照彦「俺は計画の全てを知っているからだ。なんなら、森山委員長からコピーして貰ってこっちに送って貰って、その企画書をお前らに提出してやるよ」


春輝「分かった」

照彦「それだけで良いのか?」

春輝「もういい」

照彦「じゃ、慎重に調査することだな」

春輝「分かってるよ」


~電脳世界中央病院3階C棟病室にて~

夏輝「失礼します」


鬼瓦「どうぞ」


夏輝「警察の者です」


鬼瓦「また!?」


夏輝「すみません、僕は捜査一課とは違う部署でして」


鬼瓦「え?どこの部署の人?」


夏輝「特命係です」


鬼瓦「あ~野田山さんのところの人?」


夏輝「いえ、公安の天川さんが直属のところです」


鬼瓦「あ~天川さんところの若い衆か!」


夏輝「ご存知で?」


鬼瓦「そりゃ、知ってるよ」


鬼瓦「で、その天川さんのところの若い衆が直々に俺に何か用ですか?」


夏輝「事件の事で……」

そう言い始めた途端に夏輝のスマホがなった。


夏輝「もしもし」

春輝「もしもし、春輝だ。もう鬼瓦さんを聴取しなくていい」

夏輝「どうして?」

春輝「とりあえず戻って来てくれ」

夏輝「分かったよ」


~特命係の部屋にて~

夏輝「どうしたのそんなに急いで?」

春輝「この計画書を見て欲しい」

夏輝「………え!?てことは、あの一件は仕組まれてたて事!?」

春輝「そう言う事になるな」

夏輝「これは誰から?」

春輝「俺らの直属の上司だよ」

夏輝「天川さんから!?」

春輝「そう」

夏輝「春輝…お前、会いに行ったのか?」

春輝「あぁ…」

夏輝「なんか言われたか?」

春輝「なんかって?」

夏輝「観察対象だとか」

春輝「いや」

夏輝「じゃ、何を喋ったんだ?」

春輝「事件の事だけだよ」

夏輝「そうなんだ」


春輝「まぁ、それでだ…。事件の計画したのは官僚達には間違いないのだが、その計画書によると…殺人の計画までは練られてないんだ」

夏輝「てことは、殺人は計画にないイレギュラー?」

春輝「そうなるな」


夏輝「それで…どうするの?」

春輝「俺はこの一件の調査から手を引く」

夏輝「え?どうして?」

春輝「犯人を今捕まえるのは惜しいから…」

夏輝「え?犯人分かってるってこと?」

春輝「あぁ…」

夏輝「まさか…野田山さん?」

春輝「ノーコメントだ」

夏輝「春輝!それでいいのか!?」

春輝「今の俺らではたぶんどうすることも出来ない」

夏輝「…?」

春輝「事務局の上は俺らの直属の上司が居る公安だ」

夏輝「てことは…自ずと俺らの上司が居る公安にも捜査の手が伸びるてことか…」


春輝「あぁ…」

夏輝「そう言うことなら、分かった」

春輝「夏輝…すまない。決着つけれなかった」

夏輝「春輝のせいじゃない!」

春輝「ありがとう」


夏輝「いずれ、俺たちがここを去る時に全て潰してやろう!」

春輝「そうだな笑」


こうして、長い事件が一旦幕を閉じたのであった。

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