五月雨帳

柔

―　プリズム　―

ガラス越しの虹と恋心。

七色の世界、君の闇を僕は知らない。

煌めく光を、君にあげる。

いつもみたいに笑わないで、

届いたのなら、ただ喜んで。

隔てるガラス、どうか振り返らずに

その向こうから手を振って。

ー　羊　ー

ゆるゆると流れる、

あの雲に着いて行ったら

目が覚めるかな。

眠っていたって、

起きているんだ。

起きていても、

眠れないんだ。

現の夢を、まどろみながら。

―　ドラゴン　―

ほんとは素手で象を倒せても、

貴方の前では普通でいたい。

ほんとは彼方に翔べるとしても、

翼は隠してここでいい。

本当は明日が見えたとしても、

貴方と一緒に、悩みたい。

―　おまじない　―

たとえば、

僕を喰らい、君が生きても、

君を喰らい、僕が生きても、

世界が美しくありますように。