第2話 癒やしとは(哲学)
「(頭を撫でられる音と頭上から神様の気さくな声)いや、結構ちょろくね? とか思ってたんだけど〜…むずくない? 実際に癒そう! って考えても何を以て癒やしとするかじゃない?」
(頭上で衣擦れする音)
「ほらさ? 小動物眺めて癒される輩もおれば山奥の森林みたいな過疎地でのんびりして癒される奴もおるしー(何らかのジェスチャーをする為に腕を忙しなく動かしている)。癒し方・癒され方も十人十色に千差万別じゃんでしょ??」
「(素な感じで)…さっきから私の言葉遣いが何か気に障る? 諦めよ」
「(再び髪や頭を優しく撫でる音)まあ〜つまり! お主の傷ついた心を癒す最善の方法は何か探らなくては話が進まぬという事だ!」
「…え? 神様って奴は全知全能じゃないのか、じゃと」
「(凛とした声音)人の子よ、ネタバレを喰らってから最新のジャンプを読んだとしたら感動が薄れると思わないませんか??」
(咳払いの音)
「便利なものが必ずしも便利に働くとは限らんのだ。こと人間や神の世界では特にのう…む? (突然の貴方の自分語りに耳を傾ける神様)ふむふむ…そうか、お主も苦労して頑張って来たのだな」
(右耳に神様の声が急接近する)
「(母性を感じさせる優しい声音)偉い偉い♪ 嫌な事と向き合うなんて出来た人間ですね、貴方は…よしよし」
「(フランクな声に戻る)なんか表情蕩けてなーいお主? …おぉ、そうか! この感じで労って誉めそやして寝かしつけられると癒されるか!! そうかそうか」
「(母性的な声音に切り替わって)ざーこ♪ まーぞ♪ …違う? がんばれがんばれ♡ …これも違うの? (一瞬素に戻る)お主、注文多いの…まあ人間なんていつもそんなもんさ…」
「(母性的声音に変わる)いい子いい子〜♪ 今はぜーんぶ嫌な事を忘れて、私の言葉と心地良い感触だけに意識を集中して」
(撫でられる音に加えて子守り唄らしい眠くなる鼻唄)
「ふんふ〜ん♪ 昔から貴方達は自身の弱さも臆病さも気にしないで、ガムシャラに生きてきたものねー…そう考えると随分立派な文明まで持つようになって…驚かされてばかりだわ〜」
「(素の感じで)…そんなに濃い母親面はしなくていい? 苛立ちが勝る…? どーして若造はそうお節介がるのかねぇ、年寄りの親切を」
「〜♪(暫く鼻唄と撫でられる音だけが続く)」
「(囁き声)眠りに落ちそうだの。ここは時間の流れから外れた世界じゃ、安心して眠ると良い」
(段々音が小さく遠くに聞こえて来る)
「…おやすみなさい、人の子よ」
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