第232話 殴られました(3)

『ん? そんなことをしたらアイカさんが陛下のことを手離さないで。自身の許へと置き、過保護に陛下を育てるでしょう? そうは思いませんか、陛下?』と。


 あいつが尋ねてきたから僕は、『えっ!』と驚嘆を漏らし。


『まあ、そう言われれば、そうだけれど』と。


 僕は少しばかり不満のある顔と声でシルフィーへと言葉を返した。


 だからあいつは直ぐに。


『ふっ、ふふふ』と。


 僕をバカにするような笑みを浮かべながら。


『あのまま、あの集落に陛下がいれば、心身ともに成長することもなく、女性と食事だけ与えられた。ブクブク太ったダメな国王……。そう、陛下の産まれそだった日本の映画やアニメ、漫画、恋愛小説に良く出演しているダメな国王さまが一人できあがるだけでしょう? だから朕の思う人物、英雄に陛下がならない可能性がでてきたから、あなたには悪いけれど。あの集落を出て、こちらの領地で、陛下を厳しく、育ててもらっただけ』と。


 あいつが僕にヘラヘラと揶揄するように笑いつつ、説明をしてきた。




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