第217話 女神シルフィー(5)

「健太?」


「……ん? 何、フェイン?」


 僕がアイカのことで苛立ちを隠せない様子で、カリカリと腹立たせていると。


 フェインが声をかけてきた。


 だから僕は何も考えず言葉を返せば。


「健太、アイカって誰? と、言うか? 健太の妃って女神シルフィーさまだけじゃないの?」と。


 僕にバカ女神の件を問われ、簡易的な説明だけを終えると。


 憤怒している僕と目を合わせないようにしていたフェインとルイジさんなのだが。


 アイカの話題が出て、親子仲良く顔をあげ──。


 フェインは顔色を変えて……。


 じゃないよね?


 怪訝な表情で僕へと尋ねてくる。


 それも親子仲良く嫉妬心をあらわにしながら。


 そんなフェインに対して僕は、「うん」と、正直に頷くと。


「今フェインも僕達の会話を聞いていただろう。僕とアイカの関係は、アイツの集落を飛び出たところで終わったから。もう僕とアイカは何の関係もない……。それはコイツも同じだよ、フェイン……。もう、僕とシルフィーとの関係も終わっているし。あの集落にいる奴は、みな僕の敵だ! 必ずいつか、みなごろし、根絶やしにしてやる!」と。


 僕はシルフィーと、このバカ女神についてきたオーク種族の戦士達を睨みつつ罵声を吐いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る