第49話 亡骸(1)

「うわぁ、あああっ! うわぁ、あああん! 健ちゃんが! 健ちゃんが死んだよ~!」


「あ、あんた……」


「健ちゃん……」


「うぅ、ううう」


「しく、しく」


「ひく、ひく」


「アイカ姉が! アイカ姉が全部悪いんだぁ~! 健ちゃんをとめるからぁ~! ウォンが! ウォンの奴が健ちゃんを殺したじゃないかぁっ!」


「えっ?」


「えっ、じゃないよ! えっ、じゃ! 健ちゃんはもう死んでいるんだよ! 頭が反対を向いてぇ! 首が折れて死んでいるんだよ! どうしてくれるの? アイカ姉は? そんなに健ちゃんのことが憎かったの? アイカ姉の旦那さまはウォンじゃないんだよ! 健ちゃんなんだよ! 健ちゃんを返してよ! アイカ姉はぁ~。うわぁ、あああん! うわぁあああん!」


 本当に一瞬だったらしい。


 僕がウォンの強打に倒れ、躯になったのは。


 余りの速さに、誰も声すら上げることもできずに。


 僕は地面へと倒れたらしいから。


 少しの間みんなは、何が起きたのかわからないような様子で。


 唖然、呆然としながらウォンと僕の屍を。


 走馬灯でも見るように見詰めていたらしい。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る