第40話 英雄の雄たけび? (1)
「ウォン! 何をしているんだ!」
そして「いい加減しろ!」と。
「ウォン!」、
「うぅ、うううッ、貴様~! よくもサラを……。わらわの大事な妹を足蹴りにしたなぁ……」
ウォンに対して憤怒しながら睨み、呻り、吠える。
アイカとウォンの対峙している回想シーンの様子なのだが。
これは前回の、僕の愚痴話しの続きになる。
実は、ウォンがね?
アイカとサラの姉妹喧嘩の隙を衝き、奇襲──。
サラを後方から足蹴りの連打を入れる。
だからハーフエルフになるサラの華奢な身体が宙に舞い。
ドン! と鈍い音を立てて落下──。
サラの口から『うぅ、ううう』と呻り声が漏れた。
でもサラが呻ったからと言って、
呻り声を漏らしながら地面に横たわるサラの許へと慌てて詰め寄れば。
今度は僕が毎日手入れをしていた、サラの美しいパステルグリーンによく似たカラーの髪をあいつは鷲掴み。
そのままサラの身体を強引に宙吊り状態──。
そうウォンは、自身が狩で手に入れた獲物のように、悲痛な表情をしているサラを宙吊り状態にした。
そして、あの場にいる者達へと己の武力を魅せつけ、力の誇示をして魅せた。
「お前等ー! 今日から、この集落の王は俺だ! 俺に逆らえば。サラやウルハ達のようにしてやるからなぁ、お前等ー!」
ウォンの奴はバカだから、あの時調子に乗って……と言うよりも?
その場の雰囲気に呑み込まれたのかな?
まあ、あいつ自身も女尊男卑思想に対して不満があったことには間違えないと思う?
実際ウォンはアイカの元彼、婚約者だったから。
本当は僕ではなくウォンが男王なる予定だったのと。
今この場では言えらないけれど。
ウォンは他にもまだ集落内の掟に対して不満があり。
それを自身の心の奥底にしまい込み、隠し、集落内の兄貴分──良い人として、演技しつつ振る舞っていた。
でも、あの時の事件でウォンも自身の感情が抑えきれなくなり。
あいつはバカだから覇王宣言をしてしまったのではないか? と。
僕は推測する、と説明をしたところで話しを元に戻す。
ウォンはサラの髪を鷲掴み、宙刷りにすれば。
サラの口から「うぅ、ううう」と呻り声が漏れていようとも。
ドン! だ。
サラの腹部にウォンは、自身の重たく硬い、握り拳を一発入れた。
「うッ! うぅ、ううう」
だからサラの口からはまた声にならない声と、呻りが漏れ、自身のお腹を押さえ始める。
「うわぁ~、ん。うわぁ~、ん。お腹が、お腹が痛いよ。サラのお腹が痛い。健ちゃん助けてぇ~。サラを~。サラのことを助けてよ。健ちゃん~」
サラは呻るのを辞めると。
今度は泣きながら夫である僕に助けて欲しいと嘆願をしてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます