第33話 憤怒! (2)

 でッ、そんなアイカに対してウルハは、アイツが予想もできないこと。


 一番言われたくないことを告げる。


「えッ、じゃないよ、アイカ……。あんたがしていることは、あのひと以下だ。このままだと父さんと一緒だ。うちのひとも心の病に侵され、お酒や変な煙草に溺れ。最後には心が崩壊して死に急ぐようになるから。うちは、うちのひとを連れてこの集落を出る……。だからうちの罰は集落追放でいいだろう……」


 僕自身の知らなかったのだけれど。


 ウルハはね、プラウムやサラと一緒で、アイカとは腹違いの姉妹。


 それもお姉さんになるのだ。


 だからウルハが前酋長から生まれていれば本当は、あいつが酋長になっている立場……。


 そう傾奇者、ヤンキーのお姉さまであるウルハだけれど。


 あの集落の重要人物の一人であることには間違えないから。


 ウルハがあの集落を出ていく。


 それも僕を連れて出ていくとアイカに告げ。


「あんたぁ~。行くよ~」と。


 ウルハは叫びながら、相変わらず気落ちをしながら泣いている、僕の背を追って近づけば。


 僕の頭を直ぐに優しく撫でてくれながら、真横に並んでくれた。


「これからはあんたの面倒は、うちが見てあげるから」と。


 ウルハは僕に優しく告げてくれた。


 でも、あいつの口はこれで閉じる訳ではなく。


「お~い! 皆行くよ~」


 そう、ウルハは自分の仲間達──。


 あれだけいた漢戦士達との争いに堪えぬいた。


 あの集落御自慢のアマゾネス達……。


 そう僕が、もう既に婚姻の儀式を終えている奥さま達にも、一緒にあの集落を出ようと呼びかけるから。


「うん」


「はいよ」


「ウルハ、待っておくれ」


「ちょっと待ってよ、あんた~」


「二人共置いていかないでおくれよ」


 僕の他の奥さま達も、ウルハに不満を漏らしつつ。


 僕達二人の背を慌てて追いかけ始めだすから。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る