第27話 言い訳(1)

「あなた達やめなさい!」、


「何をしているか、分かっているの?」


「お前等やめろ! やめるんだ!」


「あなた達、いい加減にしなさい!」


「おーい! お前等ー! アイカもあぁ、言っているんだぁ、争いをやめろ! 辞めるんだ!」


「これは酋長としての命令よ! サラやウルハ、貴方達も争いを今直ぐやめなさい!」


「おい! お前等! 何が原因で男女に別れて喧嘩をしているのだ?」


 まあ、今僕はあいつら二人──。


 そう、アイカとウォンが怖いから逃走を図り、情けなく、走っている最中なのだけれど。


 先ほどから僕の過去──。


 あの集落に、シルフィーバカな女神さまの気まぐれで、強制転移をされた日から今に至るまでの過去の色々なシーン……。


 特に嫌なシーンばかり思い出しながら。


「くそ! くそ! 絶対にあいつら二人のことを許さない! 許さないからな!」


 僕は涙を流しつつ、復讐心を募らせ、不満を吐きながら走っているのだけれど。


 あの時のこと……。


 あの小さな集落内で、僕が原因で起きた初めての内戦……。


 それも男女に別れて争いがおこなわれたのだけれど。


 洗濯場の近くでサラやウルハ──男達が、男女に別れて争っていると噂を聞きつけ、駆けつけてきたアイカなのだけれど。


 何でウォンときたのだろうか?


 自分一人で争いを止めにくればいいのにさ?


 何故か、あの時、アイツはウォンと仲良し、こよしで。


 ウルハやサラ、その他の奥さま達のように、僕を救援してくれる訳ではなく。


 只男女に別れて争っている内戦を止めにきただけだった。


 だから男達に裸体にされ辱めを受けて泣いている僕のことなど。


 アイツはこれっぽっちも気にすることもなく、間男ウォンと仲良く、声を大にして叫びながら内戦を止めていたよ。


 まあ、と言うか?


 あの時には、もう既に二人……。


 アイカとウォン良い仲だった、じゃないか?


 何時まで経って情けない僕……。


 魔法も使用できな、武力も無い、チート的魔法武器も持ってはいない、僕だから。


 異世界ファンタジーな勇者になれない僕に愛想をつかせ。


 元彼、婚約者のウォンと寄りを戻し、元鞘に収まっていたのかも知れないね?


 だってアイカはサラやウルハに男達と争うなと、下知をくだし続けるから。


 でも二人は僕が男達から大変に酷い目……。


「「「…………」」」


 そう、男達の半分ぐらいがウォンの問いかけに対して無反応──。


 言葉を返すこともできないような邪な行為──。


 僕に対して、二度と消えない心の傷……。


 それを負わした奴らをサラやウルハ、その他の奥さま達は、アイカとは違い、殴り殺してでも敵をとろうとしてくれていた。


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