第26話 憎悪、報復(1)
「ウルハー!」
「何だぁっ、サラ?」
「何で健ちゃんが裸体でいるのよ!?」
戦場へと駆けつけ、夫である僕の容姿、様子見て唖然、呆然……。
『うわぁ~、うわぁ~、ん』と泣き叫ぶ、恥ずかしい僕の容姿を沈黙しながら眺めていた二人だけれど。
少しばかり時間が経てば、自分達の従姉であり、サラにとっては宿敵に当たるウルハ……。
う~ん、実はね、この二人は、僕を巡って事あるごとに口喧嘩──。
そう、何故勝手に僕へと洗濯をさせた。
そして受け取った。
これでは結婚が成立しているではないか。
それも酋長であり、家の大黒柱でもあったアイカの許可をとった訳でもなく。
勝手にことを進めたと口論の上に。
最終的に二人は僕のことで取っ組み合い、殴り合いまでしていた。
そんな宿敵に対してサラは、自身の顔色を変えながら、僕が何故情けない姿をしているのかと問う。
だからウルハは、男達と殴り合いをしつつも、サラへと言葉を返す。
「サラ、お前なぁ~。もう生娘ではないのだから。家のひとの様子を見て、直ぐに自身で察しろ! そして大きな声でうちらに聞くなぁっ! このひとが可哀想だろうがぁっ!」と告げ。
「家のひとが今一番自身の姿を見られたくないのは。あんた達二人とアイカとエリエなのだから。あんた等姉妹が大きな声を出してうち等に、家のひとのことを詮索するな!」
「そうだ! そうだ!」
「大きな声を出すな、サラ!」
「あんた等、姉妹は馬鹿か?」
「阿保か?」
「頭が可笑しいのか?」
「アイカを含めて、あんたら姉妹は、他人の気持ち。夫の気持ちを察することもできない。どうしようもない女房なのかい?」
「そこで、家のひとのことを詮索する暇がったら、私等に力を貸し、加勢をしな、サラとプラウム」
ウルハのサラやプラウムに対しての罵声に続き。
他の奥さま達からも罵声が放たれ、浴びた状態となったサラとプラウムだから。
僕が男達から他人には言えれないような、辱めに遭っていたと悟ることができた。
だから二人は直ぐに下を向き、気落ちをしている表情をしたのだと思う?
僕自身は、妻二人に対して合わす顔がないから、地面に顔をつけ、ワンワンと泣いていたからよくはわからないけれど。
サラやプラウムは夫である僕が凄く、酷い目に遭っていたと悟った訳だから。
「あんた達、うちの健ちゃんをおもちゃにしてくれたみたいだね。サラはあんた達のことを絶対に許さない! みんなぶっ殺してやる!」
サラは男達へと罵声を吐けば。
そのまま猪突猛進──!
ウルハに寄って集る男達へと回し蹴りに、ワン! ツゥ! のジャブ! フック! をリズム良く入れ、舞いながら。
「プラウム姉はエリエ姉を直ぐに呼んできてぇっ! こいつら復讐だよ! サラ達姉妹でこいつら、みなごろしにしてやるのだから! プラウム姉、御願い!」
サラはプラウムに対して、あの集落最高の武人であり、アマゾネスでもあるエリエを見つけてきて、戦場に連れてきて欲しいと嘆願をした。
「うん、サラ! わかったわ! エリエ姉さまを探して呼んでくるから待っていてね!」
プラウムはサラの嘆願に対して了承すれば、直ぐに踵を返し、戦場を後にした。
そして姉のエリエを呼びにいくから。
「えっ!」
「嘘?」
「おい! どうするんだ?」
「エリエがくるぞ!」
「マジでやばいって!」
「俺、エリエが来るなんて聞いてはいなかったぞ!」と。
男達の間から、この他にも多々言葉が漏れ、浮足立つから。
男達は、先ほどまでの勢いが落ちたと思よ?
『お前なぁ~? いい加減に身体を起こし、立ち上がれよ! いつまでも、少女以下の状態でうじうじと泣くなよな! もっと男らしくしろよ!』 と。
僕自身が諫めたくなるぐらい、情けない、自分自身の耳へと聞こえてきた記憶がある。
◇◇◇
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