第14話 洗濯屋健ちゃん?

「おい!」


「おい!」


「あんたぁ~!」


「あんたぁ~、ちょっと待ってよ。あんたぁ~」


「姉さん、逃げているよ。あのひと」


「どうするんだい、ウルハ?」


「あのひとのことを放っておくのかい?」


「はぁ~。何を言っているんだい。あんた達。うちがあのひとの事を放っておく訳ないだろう……。さぁ。皆ぁ~! 家のひとの事を追いかけるよ~。そしてこれを手渡しすのだぁ~!」と。


 まあ、若い女性の威勢ある声が、僕の耳へと多々聞こえる。


 その中でも特に威勢のある女性の声が、僕の耳へと聞こえれば。


 僕はとにかく、後ろを振り返ることもしないで逃走──。


 そう、最初の頃はね、僕が今二人から逃げているように。


 彼女達から僕は、とにかく逃げ回っていたよ。


 彼女達と関わりたくないから。


 プラウムさんが僕のために編んで作ってくれた洗濯篭を抱え。


 僕はオークのアマゾネス達から逃げに、逃げたよ。


「頼むからぁ~。僕に関わらないでよ。お姉さん達~。貴女達が僕に対してしていることは、完全に虐め行為になるからことだから。僕に近寄らないでよ。おねがいだよ。おねがいしますー!」


 僕は絶叫交じりで叫びながら嘆願。


 最初の頃はね、彼女達からとにかく必死になって逃げた。


 だって彼女達に僕が捕まる! 捕獲! をされれば。


 僕は大変に酷い目に遭ってしまう。


「あんたぁ~。何、うちらから逃げていん、だよ」


「本当だよ。あんた! ウルハの言う通りだ! 何、私等から走って逃げていん、だよ」


「あんたぁ~。調子に乗るんじゃないよ。いくら私等が怒らないからって。うち等があんたに対して、いつまでも憤怒しないと思っているのかい?」


「どうするよ、姉さん? 家のひとを?」


「仕事を破棄するような男をこのまま放置する訳にはいかんだろう、ウルハ?」


「ああ、あんたら言う通りだ。家のひとを人気のないところへと連れていくよ」と。


 みんなからウルハと呼ばれる女性……。


 そう、彼女達のケバイ化粧や首飾りなど。


 衣服の着こなし方を見て確認すればわかる通りで。


 この集落内の傾奇者──ヤンキーお姉さん達と言う奴だった。


 そんな彼女達に僕は、洗濯最初の日に。


 洗い場へと向かう最中に声をかけられた。


 そして和気藹々と会話をした。


 特に僕が異世界人と言うこともあり。


 異世界の話しを色々と洗濯の最中にしてあげたら。


 彼女達は興味津々で。


 僕の話しを首肯しつつ、聞いてくれた。


 だから、彼女達の化粧の仕方が奇抜で、少し怖い。


 だから危ない女性ひと達だなと敬遠をしていた僕だけれど。


 ヤンキーなお姉さん達が、余りにも僕に対してフレンドリーだから。


 僕はよい友達ができたと思い歓喜していた。


 でもね、翌日になれば。


 僕の思いは薄れたよ。


 ヤンキーな彼女達に僕はやっぱり騙されたと思い。


 自身の肩を落としたのだ。


 だってウルハさんとヤンキーのお姉さん達は、僕へと意地悪……虐め行為をしてくるようになった。


 僕が両手で抱える洗濯篭の中に。


 自分達の汚れ物……。


 衣服や下着……。


 中にはオムツを入れる女性ひとまでいる状態……。


 そう、僕はこの集落内の状態へとなった。


 でも僕自身も、彼女達に黙って、このままやられっぱなしでは癪に障るから。


 ウルハさんとヤンキースのお姉さん達へと不満を漏らしたり。


 慌てて逃走を図ればこの通りだ。


 身体能力が皆無な僕は、直ぐに彼女達に逮捕──捕獲され、人気のない場所へと連れていかれ。


 彼女達から意味不明な言葉……。


 まあ、今の僕ならば、あいつらが何故、僕に対して憤怒していたのかは、理由がわかるからいいけれど。


 あの頃の僕はまだわからないから。


 あいつらの罵声を言い返した。


 何故、家族でもない僕が、貴女達の洗濯物を洗わないといけないのか? と。


 すると僕はこの通りだ。


 おいはぎにでも遭ったかのように身ぐるみを剥され、裸体にされて。


 自身の足腰が立たなくなるまで。


 自身の身体を彼女達に蹂躙される憂いな目に遭い。


 涙を流すのだが。


 まあ、余りに洗濯量が多いいからあいつらも手伝ってくれたよ。


 だから僕は、あいつらの水浴びの手伝いなんかもした。


 そして、僕自身が手伝える範囲ならば、主夫業もしたのだけれど。


 僕が今、をしたと言えば。


 みんな首を傾げると思うのだけれど。


 実はね、オーク種族の婚姻は。


 女性が自分達の宝物である衣服や下着を。


 好意のある男性に渡し。


 それを男性が受け取り、洗濯をして返せば。


 二人はめでたく結婚なのだ。


 それを僕は知らないから。


 最初あいつらからの洗濯物を受け取り。


 篭に入れ、洗い、返してしまったと言う訳でね。


 僕は魔力や武力もない軟弱、弱々しい男の癖にさ。


 沢山の妻を持つ身分になってしまう。


 特に僕の場合はもう既に可憐で麗しいアイカ姉妹を嫁にしている上に。


 気分や女神さまもこと、シルフィーも僕の嫁の上に。


 ウルハさんやその他の女性達の水浴び後のスッピン顔を見ればわかる通りで。


 みな美人揃いときている訳だから。


 この集落内に住む男性達が、美人を次から次へとゲットしていく僕に対して。


 よい顔をする訳はないからね。


 女性の嫉妬心も怖いが。


 男性の嫉妬心も大変に恐ろしい。


 だから僕は、段々と集落内で浮き──破滅へのカウントダウン!


 最終的には、自身の大事だった物を他人寝取られ、捨て──。


 このように二人から逃げる羽目になる、レクイエムが徐々に始まっていく。



 ◇◇◇








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