第3話 僕のヒロイン様はオーク種族の酋長(1)

「はぁ、はぁ、疲れた……。疲れたよ……」


 天を仰ぎ、嘆きながらがむしゃらに走る僕……。


 それも? 自分の妻……と言うか? 元妻と言えば良いのかな……?


 そう僕は只今妻だった女性……。アイカが僕以外の異性と浮気、優艶に交わる最中を目撃したがために、二人から殺されたらいけないので逃走をしている最中なのだけれど。

 僕の両目から悔しさの余り、涙がシトシトと流れながら。僕は見知らぬ地……。


 そうシダ植物だと思われる木々が生い茂る中を僕は目的ともないまま、浮気した妻と相手の男から殺されないためだけに情けなく逃避行続けているのだが。


 そんな僕の嘆きや不満の方はまだ収まらないので、先程の話しの続きも聞いて欲しいので続けるね。




「うぅ~ん」


 今迄疲れ切って寝ていた僕……。自分の意識が戻ったので、身体を伸び~、するから。

 目覚めた僕の口から自然と声が漏れた。


 でッ、その後の僕は、自分の瞳を動かしながら天井や壁などを注意深く見て確認した記憶があり。

 僕は天井や壁を見ながら。


『先程僕の身に起きた出来事は夢幻ではないみたいだね……』と脳裏で呟いた記憶がるよ。


 だって僕があの日、あの時、自分の瞼を開けると瞳には、丸太を加工して造った天井……。


 そう僕の産まれ育った世界のログハウスのような造りをした簡易的な屋敷の構造が僕の瞳に映るから、異世界ファンタジーな出来事……。異世界召喚と言う奴が僕の夢ではなく現実に起きたのだと悟ることができた。


 だって僕の耳に「すぅ、すぅ」と人の寝息も直ぐに聞こえてきた。


 だから僕は人の寝息のする方へと視線を変えてみたら。僕の下半身を抱き枕のようにしながら抱きつき寝ている女性の姿……。


 そう僕の何処をアイカあのひとは気に入ったのかは未だにわからない。僕の意志とは無関係に強制的な異世界召喚……。強制的な連行と言う奴を実行し、性的暴力を加えてきた。(笑) 

 僕のヒロインさまになる予定だったアイカさんが寝ている姿を確認できた。


 だから僕の強制的な異世界召喚冒険譚は夢幻ではなく現実に起きたことなのだと再確認できたから。

 僕の幼い頃からの夢は現実に叶うことができたのだと。あの時の僕は再認識できたからホッとして胸を撫でおろした記憶がある。


 でも今の僕の状態……。僕をこの世から抹殺しようとしているアイカと浮気相手から逃走しないといけない、情けない自分の様子を見れば。夢幻の方が良かったと思うから。

 僕は「あっ、ははは」と涙を流しつつ笑い誤魔化すことしかできない。


 それでもあの時の僕は、自分の身体を抱き枕にして気持ちよさそうに眠るアイカの寝ている姿を見て確認すれば安堵できた。


 だって僕が産まれ育った日本の異世界召喚の冒険譚の中には、右も左もわからない異世界で一人での放置の話しも多々あるじゃないか。


 でも僕の異世界召喚にはちゃんと家族と呼べる女性ひと達が……。それも妻となる女性達が気まぐれ女神さまのお蔭でちゃんと用意をされた異世界召喚の冒険譚だったから。一人放置の冒険譚の主人公ヒーロー達よりは待遇がいいのかも知れない? と。

 あの時の僕は馬鹿で阿保だから本気思った。これから先に、こんな辛い出来事が待っているとも知らない。


 でも僕のような情けない貧弱、貧相……魔力も武力も備わってはいない。


 そう僕はオスなのに! 自分の大事な宝物を守ることもできないような情けない男は、強制的な異世界召喚の一人放置でもよかった気がするよ。そうすればこんな辛く、悲しい思いをしなくてもよかった気もする。


 それか日本のような法治国家ならばよかったなとも思う? それならば僕は絶対に弁護士を立て、不倫をしていた二人から。ユー○ューブの動画サイトによくウエイブしている。【ざまぁみろ】の動画みたいに慰謝料をたっぷりと二人から頂き。アイカと不倫相手に地獄を魅せてやることも可能だった。


 でもここが法治国家ではなく、僕が神さま、女神さま、仏さまから頂いたヒロインさまのYESとNOで決まる異世界、他種族の集落に居た訳だから。人種で日本人の僕自身が、アイカ達がおこなう政治や法に対して我慢ができないならば、自分の意思で集落から飛び出て──。

 僕は安住の地を求めて孤独な旅を続けるしかないと思う。


 だから僕は辛いな……。



 う~ん、でも、この試練……。


 自分の妻に浮気をされて逃げる。逃走をする王さま……。


 これはこれで結構な異世界ファンタジーだな~とも僕は思うと。自分の憂鬱な気持ちも少しは晴れて楽になるから。また僕の過去の話し、愚痴話しの異世界召喚の冒険譚話に戻るけれど。


 僕は気まぐれ女神さまが与えてくれた強制的な異世界ファンタジーの特典である、麗しいヒロインさまの寝顔を見て、見惚れ。僕は本当にこんな綺麗なヒロインさまをお嫁さんにしてもよかったのかな? とも思った。


 だって僕の奥さまだった人……。僕の口から再度詳しく説明するけれど名前はね、アイカさんと言うのだけれど。彼女は異世界ファンタジーのヒロインさまにしては珍しいと呼ばれる緑色の、エキゾチックな肌の色を持つ種族の女性でね。髪の色の方も、紅蓮のように赤い髪を持つ麗しい女性の上に。先ほども僕が少しばかり説明をしたけれど。僕のヒロインさまだった彼女は、小さな集落の酋長さまだった。


 だから僕的には、エルフやダークエルフに獣人族……。


 そして僕のような人種の女性ヒロインではないアイカさんは。僕的には大変に貴重な存在であり、ヒロインさまだった。


 だって僕的にはオーク種族と言えば。豚のような顔やムキムキ筋肉のマッチョな体型……。


 そうゴリラみたいな体躯をイメージしていたのだが、僕のアイカさんのこの素晴らしい妖艶で美しい裸体の容姿を見ればわかる通りで。彼女は大変にスラリと背が高く、アフリカ系のセレブなモデルさん達のように手足も長い上にオ○パイの方も大変に大きく、お尻もキュッと締まっていたから。

 彼女は海外のスーパーモデルさん達をも凌駕するスーパーボディーの持ち主だった。


 だから僕の身体を抱き枕にして可愛く眠るアイカさんを見れば。僕のような貧者、貧相な少年が、こんな麗しい女性を妻にもらっても本当にいいかな? と思ってしまうのは当然のことだった。


 だからあの時の僕は部屋の天上見詰めながら。


「ああ、神さまありがとう……。僕にこんな麗しい奥さまをくれて……。僕は必ず彼女を幸せにしますから……。見ていてください神さま……」


 僕は自身の顔の前で両手を合わせつつ何度もお礼を告げた記憶があるよ。僕自身は数年も経たないうちに、お互いの思想……。生活習慣が合わないからと、こんな不幸な目に遭うとも知らないからねだ。



 ◇◇◇


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