第2話 どうやら僕は自身の意志とは無関係に神隠しに遭ったらしい 

『えっ! だ、誰、女性このひとは……?』


 僕が自分の唇に触れる柔らかい物と、口の中で暴れ回り、絡んでくる柔らかい物の正体を暴こうと、自分自身の瞼を開けてみると。そこには女性のアップな顔が、僕の両目の瞳に写し出されたのだ。


 だから僕はあの時、まだ朦朧とした意識の中にいた。


 でも僕は女性の顔をアップで見て驚愕したから直ぐに自分の脳内をフル回転させることができたから。

 僕は自分がアップ顔の女性と舌を絡ませ、何をしているのかを素早く悟ることができたのだが。


 う~ん、どうやら僕は女性この人とキスをしているようだけれど。僕自身は本当に困ったなぁ~! と思うのだ。


 だって僕自身は思春期の少年だと言うこともあるから女性この人……。


 そう僕自身はアップ顔の女性のことは何もしらない立場なのに。僕の初めてのキス……。ファーストキスと言う奴を僕は歓喜、感動しつつおこなうこともできないまま彼女に奪われてしまう。


 う~ん、でもこれが? 神さま、女神さまの気まぐれ……。


 そう僕が産まれ育った日本のアニメやマンガ、ライトノベルの英雄譚のお約束……。強引な異世界召喚の僕への謝礼、恩赦だと思えば。僕が大人の異世界の女性との濃厚なキスを初めてでき、堪能することができたのが幸運と言えば、幸運かも知れないと思うことで諦め、納得をすれば。

 僕はこの後も異世界の女性とのキスを味わい、堪能することができた。





「ぼが、やが、まが、けん、がっ。あが、だば、だが、でずご?(僕は山田健太と言いますが。あなたは誰なのですか?)もごもご……」


 僕は自分の生まれ育った日本故郷の流行り物……。 


 まあ、僕が流行りと言っても特殊な物……。


 そう僕が先ほど少しばかり説明をしたけれど。

 異世界ファンタジーなアニメやマンガ、ライトノベルに描かれ、書かれている、主人公が自分の産まれ育った世界から異世界へと召喚をされて。

 主人公が異世界で神さま、女神さまからチート的な素晴らしい魔力か武器を授かり。

 その世界の英雄へと、仲間達と粒粒辛苦りゅうりゅうしんくしながら英雄へとなっていく、《《異世界召喚英雄譚》)の僕のヒロインさまだと思われる緑の肌色をした紅色の髪を持つ麗しい彼女へと尋ねてみた。


 でもあの時の僕はまだヒロインさまと唇重ね、舌まで絡めている最中だったから。

 僕の言語が全くと言って良いほど言葉にならない状態ではあったのだけれど。

 僕自身がに大変になれている日本人だから。

 僕自身も最初こそ驚嘆して慌てふためいてしまったけれど。

 僕が異世界召喚の英雄譚……。神さま、女神さまに選ばれた人だと悟ることができれば。

 僕自身もあの時に、少しばかり自分の気持ちが落ち着けば慌てふためくこともなく。

 僕はしっかりとヒロインさまとの初めてのキスを堪能しつつ彼女へと冷静に尋ねることができた。


 だから後は僕がヒロインさまからの言葉を待つだけだった気がする。




「……ん? わらわか?」


 僕がヒロインさまに釣られ、彼女と舌を絡め堪能していれば。

 僕のヒロインさま舌を絡める行為を辞め。自分の舌を僕の口から抜き、言葉を返してきた。


 だからあの時の僕はヒロインさまへと「はい、貴女です」と頷き言葉を返した。


「わらわは、このオーク集落の酋長を勤める者で、アイカと言う名前だ、婿殿……」


 僕の異世界ファンタジーのヒロインさまは満身の笑みを浮かべながら自分の名前を教えてくれた。


 でも僕のヒロインさまは……。僕が産まれ故郷で観て読みした異世界ファンタジーな英雄譚とは違い。よく悪役扱いもされているオークと呼ばれる種族のヒロインさまだったから。


「えぇえええっ! うそ~~~? そんなレアな種族~~~! うそでしょう~~~?」


 僕は自分の両目を大きく開け、飛び出しそうになるくら驚愕──! 驚嘆も吐いた記憶もあるよ。


 だって僕のヒロインさまは異世界英雄譚の定番である人種やエルフ、ダークエルフに……。女神や魔族にも属さない、だと教えてくれたのだから僕は大変に驚くのは当たり前だった。


 でも僕が驚愕するのはこれだけではないと言うか? 僕のヒロインさまはオーク種族で酋長さまだから。僕も今にして思えば当たり前のことなのだが。

 僕はヒロインさまの口から「婿殿煩い~~~!」と諫められるほどの驚嘆が吐き終われば。

 僕はオーク種族のヒロインさまに、自分の学校指定の白シャツの首の襟を掴まれ。そのまま引きずられながら、僕の意志とは無関係に彼女の寝所へと強引に連行され。僕は酋長さまの婿養子らしく強引に彼女と交わり、契りを交わし終え。

 僕は直ぐに酋長さまの旦那さまにはなったから。

 僕の今後の余生はウハウハで楽ができる順風満帆な暮らしが待っていると思っていた。


 でも僕の予想に反してこの通り……。僕は集落から逃走を計る羽目になるとは、この時は思いもしなかった。



 ◇◇◇




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