第二章
第15話 結束
「そこの林檎一つと、あと菜野果(※1)一つください。」
若い長身の男は、ダンボールの中の果物を指さして、小汚く古い、八百屋。 その店主であろう老婆に話しかけていた。
「あら、 貴方見ない顔ねぇ、外から来た、旅のお方?」
老婆は不気味に笑顔を浮かべて男に果物を入った袋を手渡しながら、問を投げかける。
「えぇ...一昨日から...この街に...いい村です...景色が綺麗だ...旅館の方々にも非常に良くしてもらいました。」
「それはどうも…外からわざわざ来ていただけるなんて…そうそうないですから、ありがとうございます。 良かったらおまけにこれもどうぞ。」
若い男は、店主であろう老婆から、大量の見たことのない、果実が入った袋を手渡された。
「あの…これは………?」
「この竜泣き町、でしか取れないフルーツ、『堕大蛇(※2)』です。 そのまま皮ごと食べることができるので是非。」
「どうも…」
男は袋を受け取ると少し広めの道路がある、
大通りらしき場所に泊まっている、黒く塗り大きな高級車の助手席ドアを開けた。
車内、運転席にはには銀髪で鋭い目つきが特徴的な美女と後部座席には、初老で小柄の男性、そして全身黒い長武のコートと目元が見てないほど深くかぶられたベレー帽が特徴的な超大柄な男性が座っていた。
「遅いぞ、飯田。 なにか揉めたのか?」
後部座席から初老の小柄な男性が若い男、飯田に声をかけた。
「いえ、田中さん少しばかり不可解なことが…」
「隠しごとか………。」
「はい、ただ、かなり『うまい』です。」
「手慣れているのか…やはり何人か過去に来ている記録は本当のようだな。
ただ、隠し事なら、負けてはおれんぞ、我々の素性は奴らにはバレていないだろうな…。」
タナカと呼ばれた、初老の男性はイイダに鋭い眼光を向け、高圧的な声で尋ねた。
「はい、サイトにも歴史的な文化を調査する考古学者としてプロフィールを登録しています。 それにしても、この竜哭村は……。」
「待て!! 見ろ飯田くん」
タナカは座席を乗り上げ手に持っていたはアイパッドを飯田の方に差し出すと、目を見開きながら、声を張り上げた。
「例の女子高生三人、今日もう到着しているはずだが、その時間帯にバイトの申込みを締め切っている。 『可米彼方』が出したこの依頼が…!!」
「ギリギリセーフですね、我々は、締切までにこの依頼を受けるのに成功した、もう少しで、奴の喉元を逃がすところだった…。」
イイダがため息をつきながら呟くと、それを聞いたタナカが大柄の男に懇願した。
「どうか、頼みますよAEさん」
「構わん、報酬はもらった、それに不特定多数なほど多くの人の彼岸でもあったんだ。 無論俺とあいつを含めてな あんたの『面白い賭け』に乗ってやるよ。」
大柄の男はコートから取り出した大型の拳銃を取り出し、銃弾を込めながら言葉を続けた。
「殺すんだろ……可米彼方を」
※1 菜野果 (ナノカ)
浅田色で鋭い酸味と爽やかな風味が特徴的な果実、近年、日本列島全土で確認された。
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