第10話 ガゴメカナタ
「御到使って?」
ノゾミは少年の服をつまみ、今夜行われる。祭りのことについて、訪ねたが、少年から返ってきた、答えは、「図書館に行け」か或は「直接行って確かめろ」だけで、今に始まったことではないが、どうも、自分たちとは最低限以上にコミュニケーションを取るつもりもないような、態度だった。
走行しているうちに一同は複数の白い石柱に彩られた屋敷の入口にたどり着いた。
改めて見ると、そびえ立つそれはかなりの大きさで、荘厳な不気味さをまとっていた。
扉に近づくと、どうやら声変わり混じりの若い男性がすぐ近くのロビーで電話していることが音でわかった。
ノゾミは恐る恐るインターホンのスイッチに手を伸ばしたが、伸ばす手より先に、少年が勢いよく、扉を蹴り開けた。
「おぉ、これは………失礼、弟と来客がな…そう明日の仕事の…じゃあ、祭りで使う、奴ら分の袋と、馬は用意しておくから、よく孕むといいなぁ、じゃあ失礼する。」
写真で見るよりも、ずっと、中性的な美しさが目立ち、それでも間違えなく依頼主として、写真に、乗っていた、男が電話をしていた。 男が、早々に電話を切り上げた。
「これは、これは失礼した。 私は、可米彼方、貴方方に依頼を出した、本人だ。」
「え…あ…四季原ノゾミです…。」
「野々原カオリです。」
「キ…キ…木根リオンです!」
写真からでは、分からなかった、彼の放つまるでこの世のものとは思えない、妖艶な雰囲気に、三人は、たじろいでしまう。
「それと…。」
可米彼方は言葉を一瞬だけつまらせてから、正面に立っていた。 少年の肩を掴み、こちらに身体を向かせると。口を開いた。
「こちらは私の弟。 凡そ…私の予想では、君たちに相当な無礼を働いた、上にまともな自己紹介もしていないのだろう…私から紹介させてくれ。」
「彼の名前は、可米海十 (カゴメ カイト) 随分な立ち振る舞いをしているが…どうか悪く思わないで…」
言葉の途中で可米海斗は乱暴に掴まれた肩を振り払い、そのままロビーをあとにした。その雰囲気は明らかに、自分の兄であるはずの可米彼方に、対して嫌悪感を感じさせる振る舞いだった。
「まったく…。いや、誤解しないでくれ…ほんとは誠実で心優しいやつなんだ。」
(ほんとかぁ〜?)っと木根リオンは思った。
「ともかく、君たち以外にも依頼をもう一組出してある…その人たちは2時半に到着予定だ…。 それまで客室でくつろいでくれ、半田に案内させよう、昼食も使いの者にすぐに持ってこさせる。部屋にあるものは、自由に使ってくれ。」
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