第3話 探しものバイトその3

アナウンスがなった直後、電車は明らかにスピードを上げ、まるでジェットコースターの登りのように、急上昇していった。3人は明らかに、進行方向と逆側に重力を感じて、その状況を察し、怯えていた。


「ちょっともうなにこれ、信じられない!! 私…私知らない!!…知らないからね…!」


パニックを起こし、木根リオンは突然に大声を出す。手すりにしがみつき、席を立たないものの、その場で脚をバタつかせたために、方っぽのローファーがすっぽ抜け、中を舞い向かいの窓に衝突する。


「先輩…落ち着いて…あと、知らないは無理があるから…ほら、のぞみも…」


カオリが暴れるリオンを静止させたあと、ひたすら俯き、ガタガタ震えて沈黙を貫く、のぞみの肩に手を置くと、言葉を続けた。


「大丈夫…!まだなにかされたと決まったわけじゃないし…それに今から…回れ右して変えることもできないわ…。 だから今は大丈夫と思うことにして…いざという時落ち着いて対処できるのようにしましょ。 ほら先輩水…飲む?」


リオンは肩で息をつくと差し出された水を手に取り、水を飲みうなだれながら、呟いた。


「ごめんカオリちゃん…ちょっと参ってた。」


カオリは、席をたちしばらく二人の、そばに黙って経っていたが…、ある時突然窓の外を凝視する。 


「カオリちゃん…?どうしたの…って、え?」


「これは………。」


カオリの行動に疑問を持ったのぞみが続いてカオリが見つめる窓の外へ目を移すと、そこにはなんとも驚くべき絶景が広がっていた。


3人を乗せた電車はいつの間にやら果てしなく長い、トンネルを抜け、その高さは凡そ1200メートルを超える巨大な橋の上を走っていた、上空全体から覆われる霧のせいで

あまりの良くは見えないが、その橋は広大なで美しいコバルトブルーとエメラルドグリーンの色が混ざった、澄んだ美海の上を通っており、また窓の先まで視界を移すと、見渡す限りの緑の山々と上下が極めて激しい、巨大な滝が各所に見られる、崖、と山がまるで作為的な規則性で敷き詰められていた。

 

 奥の方はこういった、神々しく、また禁忌的な大自然が広がっていたが、手前の方には

やや緑が減り、人の生活が感じられる、普遍的な建造物が立ち並んでいた。 しかし、こちらも先程の崖のように、明らかなある一定の規則性の元に並んでいて。 例えるならものがビルや和風の民家でありながら、上空からの見た目はさながら、花の都パリのようだった。


「凄い…これは夢なの…。」


あっけに取られて長らくの沈黙していた3人だったが次第に最初のリアクションをリオンが吐き出す。


分からない。 リオンの言葉を聞いた2人が同時に頭の中に浮かべたアンサーはこれだった。

 今この場この三人がいるここは夢ではないことはわかる。 だが…現実であるとは到底ありえないということも、3人の中では必然の結論であったからだ。

 と突然に電車が停車した。 どうやら目的地へついたようだ。


「終点〜高寝駅〜扉が開きまーす。」


開いた扉からは、先程までの吐き気が混ざった。重い空気を吹き飛ばす。冷たい風が吹き込んでくる。 三人は抜けた腰を支え合いなんとか震える足で電車を降りた。


 

 

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