放置田の草刈りをすることになったのだが、なぜかダンジョン攻略することになった

第31話

(ひぇぇ！）

　彼は内心そう思いつつ、体勢を立て直すべく地面を踏みしめようとしていると、

　西洋鎧姿の騎士は更に追撃と言わんばかりに、巨大な

　輝剣に変えた右手の剣を回転斬りの要領で彼に向かって

　横薙ぎに振るった

（あ゛、これもヤバいやつだ！？）

　その一撃は、鈍く重々しい轟きを周囲に響かせる

　本能と理性が同時に危険を察知して、彼は反射的に

　バックステップして回避した

　その斬撃は紙一重だった

　その強烈な一撃をまともに受け止めようとしていたら、

　恐らくは一瞬で 身体が四散していただろう

　大技の一種だったのか、巨大な輝剣に変えた右手の剣は

　すでに元の重量を極限まで切り詰め直剣にサーベルを

　掛け合わせたような形状の 剣に戻っていた

　西洋鎧姿の騎士は右手の剣の輝きを失う程大量の出血 をしているためか

　明らかに動きが鈍くなっている

　動けなくなった西洋鎧姿の騎士にトドメを刺すべく、彼は間合いを

　詰めようとした時だった

　西洋鎧姿の騎士の頭上に、幾多の輝剣が現れた

　西洋鎧姿の騎士は、右手の剣を彼に向けた

「まだそんなのがあるのか!?」

　西洋鎧姿の騎士の頭上に現れた輝剣は、ゆっくりと

　回転しながら彼に向かって降り注いだ

　その圧倒的な物量に思わず背筋が凍りつきかけたが、彼は必死に回避し続けた。

　凄まじい速度で飛来する輝剣一本一本は、弾丸の如き威力を秘めており、

　その一撃は　地面を抉り取りながら、まるで巨大な剣山のように突き立った。

『ネクロマンサー』一式装備の恩恵で動体視力や瞬発力、肉体能力が大幅に

　強化されているにも関わらず 紙一重で避け続けるのが精いっぱいだった

　徐々に体力と精神力が削られていき、追い討ちをかけるように西洋鎧姿の騎士は

　更に追撃する構えを見せた

　二本の剣を軽く振るうと、右手の剣は炎に包まれ、左手の剣は

　闇のように黒く染まった

（げぇぇぇ!! さらにヤバいのが!?)

　次の瞬間には、二本の剣で斬りかかって来た。

　頭上から縦に振り下ろされる斬撃と、横薙ぎに斬り裂く一閃は明らかに

　片方の剣は避けにくく、もう片方の剣の一撃は間違いなく躱しにくい一閃だ。

（くそっ！！）

　江崎は思わずそう内心で悪態をつく

　頭上から縦に振り下ろされる斬撃と、横薙ぎに斬り裂く一閃は

　回避する事は不可能に近かった

　―――その時、彼の脳内で掠れた声が響いた

『　自動守護『死神の界術』発動・・・防御力、魔法防御力の上昇に成功

　『血死境界術』発動　・・・　能力値の上昇及び結界の生成に成功』

　その瞬間、西洋鎧姿の騎士の斬撃は彼に届くことなく途中で止まった。

（な、なんだ？）

　江崎が困惑している中、西洋鎧姿の騎士は再び斬りかかってきた

　炎に包まれた右手の剣と闇のように黒く染まった左手の剣による

　斬撃は、一撃一撃が凄まじい速度と威力を秘めている。

　それらの攻撃は、全て彼の身体に触れる前に見えない壁に

　阻まれるように弾かれた

　だが、それだけでは終わらない。

　西洋鎧姿の騎士は地面を焦がす程の踏み込みによって一気に間合いを詰めてきた

　その動きはまるで瞬間移動でもしたかのように速かった。

（やば！）

　江崎は反射的にバックステップで回避しようとするが、到底間に

　合うはずがなかった

　短剣を西洋鎧姿の騎士の斬撃にぶつける事で防ごうとしたが、それも

　江崎の身体に　触れる前に見えない壁のような物に阻まれた。

　だが、その一撃は重く鋭くまるで巨大な岩を叩きつけたような衝撃で、

　見えない壁に　バチバチという音とともに罅が入った

　西洋鎧姿の騎士は弾かれた衝撃からか、今度はバックステップで

　間合いを 取り、再び　斬りかかってきた。