第30話

(ちょっ!? まじか!)

 彼がそう思うと同時に、これは記録撮影している場合じゃないと 瞬時に判断して

 カメラやドローンを慌ててタブレットの収納部へしまいこんだ

 しかし、西洋鎧姿の騎士は容赦なく襲い掛かってきた

 斬撃を回避してバックステップすると、追撃で切り込んできた騎士の

 突きを咄嗟の判断で左手に持った短剣で受け流した

 音共に硬質な物を金属が弾いた際の特有の感触が手に伝わる

 西洋鎧姿の騎士の斬撃は、驚嘆すべきスピードだった

 到底普通なら避ける事も出来ずに、その斬撃で切り裂かれていただろう



 騎士の斬撃が自分に届く前に回避行動に移れたのも、全て江崎が装備している

『ネクロマンサー』一式装備の恩恵によるものだ

 ダーク系装備には、身体の回避力・素早さ向上や

 状態異常耐性などの恩恵が得られる

 そのため、通常より身体が軽く動きやすくなっていた

(この『ネクロマンサー』一式装備すげぇ・・・。

 まるでアニメやラノベの登場人物の様な

 動きが可能だ)

 江崎は内心そう思いつつも、異世界転生物の主人公が

 モンスター相手に無双するラノベの様な 展開を

 想像しかけてしまった


 しかし、その思考を止める事となる事態が発生した。

 距離を離していた西洋鎧姿の騎士が、走るような

 構えから間合いを詰めて 来たからだ。

 凄まじい速度で斬撃を繰り出してくる

(速い!)

 江崎は騎士の攻撃を避け続ける

 西洋鎧姿の騎士の繰り出される斬撃は、無駄のない動きだ

 鋭い踏み込みからの美しいとさえいえる刺突は正に

 フェンシングを彷彿とさせるが、騎士の刺突は速く、

 そして威力があった。


 対する江崎も必死に躱し続けつつ反撃の機会を窺う

(くそ!長くは持たないぞ!)

 彼は内心そう思う

 だが、判断が遅れると、すぐにでも切り刻まれるだろう

「ひぃぃぃぃ!!」

 江崎は反射的に、握っている短剣を横薙ぎに振るった

 鋭く尖っている切っ先から、赤黒い液体が飛び散った

 西洋鎧姿の騎士は、その動きを先読みしていたかのように

 飛び下がろうとしたが、血液のような粘液が全身に降りかかり、

 強酸性の効果が付与しているのか全身から煙が立ち始めた


 それでも西洋鎧姿の騎士は、苦痛らしい叫びは

 一切発しなかった

 だが、その代わりに右手の剣を巨大な輝剣に変えて、彼に

 向かって振り下ろしてきた

 その一撃は、鈍く重々しい轟きを周囲に響かせた

(あ゛、これヤバいやつだ!?)

 江崎はその一撃を短剣で受け流そうとしていたが、

 本能的で危険を察知してに跳躍する事で回避した

 しかし、彼自身はその衝撃で後方に吹き飛んだが、幸運な事に

 西洋鎧姿の騎士の一撃を回避する事が出来た

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