第28話

 廃墟の関所跡から約一時間ほどで、その場所に辿り着いた

 そこは街道脇の草原に、巨大な円形の石柱が幾つか立っていて

 石柱の周囲に、石で造られた小さな祠が建っている場所だった

 まるで神社や寺院といった建物を連想させた。

(ここが目的の場所だ・・・しっかし、何かストーンヘンジっぽくでもあるなぁ)

 江崎は周囲を見渡しつつ、そう呟いた

 事前にドローンで上空から偵察していた時に この場所を視つけていたのだ

 現代のような人工的な構造物ではなく自然発生したとしか思えず、神秘的な

 雰囲気を醸し出している

 彼はその場所に足を踏み入れると、石柱に近付きながら観察を始めた

 石柱の太さは約1mほどで、高さは5mほどあるだろうか。

 周囲の自然界には少々不釣り合いで、遠くからでもよく目立つ

(報告はしてあるけど、これも調査しろと?。考古学者じゃ無いんだけどなぁ)

 彼は内心でそう呟くと、調査を開始する事にした

 このストーンヘンジっぽい石柱については、佐藤正樹に報告書と共にメールを

 送付している


 だが、偵察映像を確認をした佐藤は特に興奮した様子も無く、ただ

 淡々とした口調で『定時報告だけは毎日するように』と

 それだけしか言わなかった

 さらにその後には付け加える様に、『それを使い、『ダンジョン』事業で甘い汁を

 吸っている外資企業や日本の保守党官僚相手に、アルバイト感覚で金を稼ぐのは

 面白いだろうが、ほどほどにしとけよ?

 どの大企業にも総会屋や恐喝専門業界紙に備えての、防衛費という名の

 税金対策で雇われている奴らはいるからな』と、佐藤正樹に言われていた。

(佐藤さんの『火遊びもほどほどにな』みたいな表情・・・

 この『世界線』の自分は、 ゲームやラノベ人物の軽いイタズラレベルじゃなく

 バチバチのアクション系やスパイ小説系主人公みたいなことを、していたのかねぇ・・・)

 江崎はそう思いつつ、調査を開始した。


 とりあえず手始めに石柱の一つを軽く叩いてみる事にする

 石柱は高さはやはり約5mほど、直径は3mくらいだろうか

 表面は滑らかで力を入れてみても傷一つ付ず、まるで石柱と

 一体化してしまったような錯覚さえ覚える程に硬い

 次に周囲の草むらを手で払ってみると、草むらに

 隠されていた石畳が姿を現わした

 その石畳には何か文字が彫られていたようだが、風化して

 判読する事は 出来そうにもなかった

(もしかしたら、ここは何かの遺跡か?)

 そう思った彼はドローンを起動すると周囲を空撮させてみた

 周囲を確認すると、何やら魔方陣みたいなものを確認出来た

 彼はタブレットとカメラを用意すると、その魔方陣の近くへ向かった

 魔方陣へと向かうには、草むらに隠されていた石畳の階段を上る必要があった

 その階段を上り、彼は魔方陣の前で止まった

(これって多分よくあるパターンだと何か出てくる展開だよな?)

 彼はそう思いつつ闇雲に魔方陣の中には入らずに、まずは魔方陣を

 観察することにした

 魔方陣には何らかの文字が書かれており、タブレットで撮影してみる

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