第26話
管理事務所で背広から探索用の『ネクロマンサー一式装備』へと着替え彼は、
五号『ダンジョン』内部へと入って行く
最初に来た時の緊張感は、もうほとんど無かった
管理事務所で引き籠り、ドローンで観察をしてテキトーに
報告するだけにもいかないため 渋々とダンジョン内へ入っていた
周囲を改めて観察すると、何度見ても景色にただ圧倒される
『ダンジョン』の中とは思えない広大な自然、どこまでも続く蒼穹の
下に広がる草原、その中を吹き抜ける爽やかな風・・・
空気も澄んでいて、土と草の匂い、花の香りまで漂って来る
小説やゲームなどでおなじみの景色が広がっているのだ
だが油断は禁物である
ここはモンスターが生息する危険地帯でもあるからだ
彼は『ふぅっ』と息を吐くと、ドローンから送られてきた映像で確認した
北へ進み始める
その先は廃墟と化している関所跡があり、丁度T字路の
分岐点になっている
廃墟の関所跡とその周囲には中世時代の鎧を身に纏ったオークの
集団がいる場所なのであまり近付きたくない
廃墟の関所跡は中世ヨーロッパ風の石造りの砦で、小城程度の
石造り堅牢さを誇っていた
事だろうが、建物はほとんどが倒壊しており、原形を残してはいるものもあるが
ほとんどが倒壊している
右側は草木が生い茂る森へと続いているが、森も普通ではなく
鬱蒼としたツタ植物に溢れ、ジメジメした熱帯雨林のような
雰囲気を醸し出している
左も同じく道が続いているが、そちらは膝程度の草地が
広がっており地平線まで続いている
「ま、行くなら左側だな」
そう呟くと、まずは廃墟の関所跡まで行く事にした
廃墟の関所跡へ向かう道中は、幸いゴブリンといったモンスターとは
遭遇する事はなく、野生動物に出会うだけだった
辿り着いた廃墟の関所跡は、中世の西洋都市に似た雰囲気をもつ街並だった
ドローンから送られてきた映像でも確認はしていたが、やはり
実際観るのとは 印象が違って見えるものだった
周囲を見渡すと、苔むした家々や朽ちた城壁、枯れ果てた街路樹などがある
中世の西洋都市に似た雰囲気をもつ、廃墟化した石造りな堅牢砦だった
外敵から身を守るためにか中世ヨーロッパ風の石壁で囲われている街並は、
それほど荒廃してはいなかった
少し崩れた石造りの家々や枯れた街路樹があり、長い年月を経なければ
生み出せないであろう静寂と退廃した雰囲気を漂わせている
その廃墟の街並みは、まるで時が止まったかのように静謐な空気に包まれていた
「確かドローンの映像だと、中央には噴水があったな」
江崎がそう呟きつつ、ゆっくりと中へ入っていく
しかし、石畳の広場を中心に放射状に通りが伸びその中央ににある
噴水付近には、鎧を着込み槍や剣で武装したオークの集団が屯しているを、
事前にドローンから送られてきた映像で確認しているため、
わざわざ横切る事はしない
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