第23話
「魔震計測』課からご質問があるのですが、『会長』」
黒いパンツスーツを身に纏い、長い黒髪を後ろで束ねている女性が口を開いて問いかけた。
「あら、どうしたの?鈴音ちゃん?」
新島がその女性に問いかけた。
「今後解放予定の四号『ダンジョン』は、海外『クラン』専用として解放するという
話は事実なのでしょうか?」
鈴音と呼ばれた女性が質問した
「まだ調整中だけど・・・2人は規制前に江崎君が大きな事案に頸を突っ込んで
仲裁に入った事は?」
新島が答えると、2人は首を左右に振った
「詳しくは」
塩顔整っている黒髪のオールバックの男性が口を開いた
江崎は、その2人の仕草に嫌な予感しかしなかった
(・・・おいおい)
そう心で呟くのも無理はない
この『世界線』に『転移』してきただけの江崎には、あまりにも心当たりがなく、
その予感は 的中するのであった
「アジア系探索者クラン『青龍会』と北米西海外の最大規模探索者クラン
『ブラッド・クリスマス』の抗争に関わったとは、噂程度に」
鈴音と呼ばれた女性が答えた
新島が視線を廣瀬に向けると、廣瀬がタブレット端末を操作して
2つのクランが争っていた内容を表示した
「そこに表示されている様に、アジアを舞台に2つの組織が凄絶な大抗争に
突入した切っ掛けは、勢力拡大を狙い『ブラッド・クリスマス』がフィリピン・
ダンジョンへ探索者を派遣した事が発端だった
『ブラッド・クリスマス』は、『ダンジョン』を抱えるフィリピン各消費都市の
『クラン』や政府要人との パイプを太くする狙いがあったようだ
フィリピン・ダンジョン内部に棲息する主なモンスターは強敵揃いなこともあり、
フィリピン政府側とフィリピン国内最大クラン『サンパギータ』は、
利権を譲渡する
代わりにダンジョン探索に必要な人員や物資の多額の援助を
『ブラッド・クリスマス』側に 申し入れた」
山田がそう説明する。
「しかし、それに反攻する勢力がすでに、フィリピン国内へ勢力を伸張していた
それがアジア系探索者クラン『青龍会』だった
本格的な抗争に突入した発端は、『サンパギータ』と『ブラッド・クリスマス』
混成パーティーが『青龍会』フィリピン支部クランパーティーへ
襲撃した事から始まる
まぁ、後はテレビニュースなどでも報道された通りアジアを舞台に
凄絶な大抗争へ 突入したって訳だ」
廣瀬がそう説明をしめくくった。
(何なんだそれ・・・)
江崎は話だけでも貌が引きつるのだった。
だが、そんな江崎の心情などお構いなしに話は続く
「江崎さんが、裏で仕組んだ平和協定が締結されるまでアジア全域で
熾烈な抗争が行われてね。
『青龍会』と『ブラッド・クリスマス』の抗争で、軍や警察、巻き込まれた
一般探索者などを含めると死者行方不明者は、数万人に昇るよ。」
廣瀬は苦笑いを浮かべて話をつづけた
「で、そんな国際紛争よりも始末が悪い抗争に江崎は、有給休暇を使い
頸を突っ込んで仲裁にはいった
さらに言えば我々『日本探索者協会』側には報連相もなく、東南
アジア諸国諸国に 進出している日本国内の様々な企業や日本政府機関、
そして『手野グループ』本社には抜け目なく水面下で 紛争解決の為の
根回しをして、前協議を極秘に進めていた
江崎がこっちに最終報告を上げてきたのは、大方全ての仕込みが終えた後だ・・・
まったくお前と言う奴は」
佐藤が盛大なため息を吐いた。
それが誰を指しているかなど言うまでもない。
(ちょ・・・何それ?)
この『世界線』に『転移』してきただけの江崎にとっては、あまりにも
心当たりがなく、困惑するだけだった
「それが四号『ダンジョン』を海外『クラン』専用とどのような関係が?」
塩顔整っている黒髪のオールバックの男性が口を開いた
江崎は嫌な予感しかしなかった
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