第22話
新島が次の議題に移るため、タブレット端末を操作すると
投影された映像は消えた。
「次の議題は、こちらを視てください。」
そう口を開いたのは佐藤だ。
佐藤が画面を切り替えると、今度は『ダンジョン配信者』の動画が流れ始めた。
その映像には、ダンジョンのモンスターを討伐しドロップアイテムを回収する
探索者の姿が映されている
それも日本人ではなく、この『世界線』で言う所の訪日観光探索者だ
(これって何処だ?)
江崎はその光景に見覚えがなく、頸を捻った
「 『富士樹海』怪異ダンジョンね。
そこも立ち入り禁止に指定してあるはずなんだけど・・・」
新島は嘆息した。
映像には外国人と思われる顔立ちの女性や男性がが映し出されていた。
「ライブ動画コメントを確認してみた所、ダンジョン配信者グループは
『富士樹海』怪異ダンジョンのデュラハンRTAを計画しているとの事で、
『日本探索者協会』の立ち入り禁止エリアに指定されているにも関わらず、
ダンジョン内に入った模様です。」
佐藤が映像から得た情報を報告する
その情報は廣瀬や山田も知らなかったようで、タブレット端末を操作して
ライブ配信サイトを 確認していた
(何だよデュラハンRTAって・・・)
そんな新島達の様子を視ながら、江崎はそう心で呟く
もちろんここで疑問の浮かんだ表情を浮かべると、いささかまずいので疑問を
余所にやった
が、正直不安でしかない。
ライブ配信サイトのネット配信のコメント欄を覗くと――
・デュラハンって強いけど日本のは雑魚だよな?
・でもこの探索者達なら楽勝だろw
・RTAで金稼ぎか・・・いいねぇ~。俺もしたいぜ!
・よく見る探索者達だな!でも確かにこのダンジョンならRTAもありかもなw
・・・等々、かなり舐めた内容のコメントが多数書き込まれていた
「『富士樹海』怪異ダンジョンを含め、日本全国の『放置田ダンジョン』で出没する
デュラハンは、海外のデュラハンの様に生命吸収する特殊能力を保持しておらず、
人語を理解し、流暢に話す知能の高さがないから舐めて挑んでるんすね」
廣瀬がそう語る
「海外のデュラハン相手なら、こんな舐めた真似は誰もしない
まったく、日本の『ダンジョン』は練習場かなんかと勘違いして るのか」
山田が厳しい口調で言う
「バカンス気分じゃないすっかね。
訪日観光探索者の装備類は、ほとんどが海外『ダンジョン』の
最下層や深淵でドロップする物や、高レアリティな装備類品ですよ。
この配信動画の訪日観光探索者がそれぞれ手に持っている武器なんて、
まず日本国内の『放置田ダンジョン』では決して入手できない
魔剣聖剣の類ですよ」
廣瀬は淡々とした口調でそう語る。
「海外でRTAしてるような訪日観光探索者だ。
れぐらいの装備一式は、海外『ダンジョン』では珍しくはない」
そう佐藤は語る。
(どんだけ恵まれてるんだ・・・海外の ダンジョン探索者は・・・)
そう思いながら江崎は、廣瀬の話の続きを聞く事にした。
「大半が魔剣聖剣、伝説の防具類で身を固めた訪日観光探索者は、入国規制前
『東日本百鬼夜行』後の東北『帰還困難区域』へ警告を無視して、単独でまたは
団体で入り込んでました
『帰還困難区域』の『廃神社・廃寺』怪異ダンジョンと『空き家』ダンジョン』で
ゲームの様に無双戦闘を真似て、その内容をネット配信し稼いでいました」
廣瀬は険しい表情で言葉を発する
「まったく魔剣聖剣などそう安いモノではないのに、海外探索者はお金持ちね」
新島は呆れた表情になる。
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