第19話

 江崎 零士の日常業務に変化はなかった。

 あるとすれば、管理することになった五号『ダンジョン』の内部探索ぐらいだろう

 彼は業務用のpcを立ち上げると、日課の五号『ダンジョン』内部に接している

 監視カメラの 映像を確認する。

 監視カメラは五号ダンジョンの出入り口に一台、XCP245『異世界水』を

 散布した特徴的な大きな岩がそびえる場所に設置してある

 出入り口の映像を確認して、XCP245『異世界水』を散布した場所の

 映像を確認しているとRPGゲームやラノベ書籍で冒険者達が装備している様な

 中世的な西洋鎧や開拓者が着ていた様な服装をした集団が

 監視カメラに映っていた。



 その数は10名ほどで、その内数名は重装備をしている

 また、5名が未開の森の中に入ってゆく姿が映し出されていた。

 その未開の森の中に入ってゆく集団には、重装備をしている者達は含まれている

「これがXCP245『異世界水』の効果なのか」

 江崎は監視カメラの映像を見ながらそう呟く

 10名はXCP245『異世界水』により呼ばれた、『廃棄異世界』からの

 開拓移民集団だ

 江崎が見ている監視カメラの映像には、重装備をしている者達の

 会話が音声付きで映し出されていた。

 どうやらその10名は全員同じ言語で会話している様だった


『よしっ、皆準備できたな』

 代表者と思われる男の声が聞こえてくると、他の10名は頷き同意していた

『旦那~いつ行きます?』

 そう言ってきた男の装備は軽装で、その手には棍棒が握られていた

『そうだな、とりあえず周囲の偵察からだな

 モンスターと戦闘になる可能性もある』

 代表者の男はそう言う

『了解です』

 軽装装備の男がそう返すと、他の男達もそれに同意した様子で頷いていた

「 『廃棄異世界』からの開拓移民って、何なんだよ?

 って言うか 絶対、ラノベやゲームみたいな異世界だよな……」

 江崎はそう呟くと、キーボードを操作して調査内容を入力していくのだった。


「世間は騒がしくなるが、担当する五号『ダンジョン』は無縁な世界だ」

 江崎は何処かほっとした口調でそう呟き、確認作業を続けて行くのだった

「江崎、朝の定例会議だ。遅れるなよ」

 佐藤正樹が江崎にそう告げたのは、朝の8時を過ぎた頃だった

「あ、はい!」

 その佐藤の言葉に江崎は応えると、席を立ち足早に佐藤の後に続く


『日本探索者協会』会議室には、新島 美香『会長』の他に、彼の

 いた『世界線』では古株の同僚だった小肥の男性、山田 満男や、

『日本索者協会情報統括部』主任の廣瀬 証一郎がそれぞれの席に座っていた

(違和感あるんだよなぁ・・・廣瀬って人もとの『世界線』だと書店員

 だったはずだぞ?)

 そう思ったが、江崎は声に出さずに席に座った

「『魔震計測』課の姫宮と加藤はまだですが、定例会議を始めますか?

『会長』?」

 佐藤は議長役の新島に確認していた

 江崎の隣に座った佐藤は、姿勢正しく椅子に座ると会議室に設置されている

 プロジェクターにタブレット端末を接続し映像を流していた。

「何時もなら業務開始直前に滑り込み出勤の江崎も、ここ最近は随分早く

 出勤しているいうのに・・・

 何か『魔震計測』で気になる事でも起きているのか?」

 廣瀬がそう呟く

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