第11話
江崎は小一時間ほどかけ、再びドローン操作で『ダンジョン』内部を探索した
その結果、この五号『ダンジョン』内部は奥行きも深く広大な空間である事が
確認出来た。
慣れないものをいきなり使ったせいで疲れてしまっていたが、彼
は一旦管理事務所へ戻る事にした
管理事務所へ戻ると、休憩用に設置されたソファーに座り込んで小休止する
元々は古い民宿だったようで、当時のそのままの作りを残している
手入れや掃除など全くされてないからか、埃まみれだったが所謂昔ながらの雰囲気が漂い、 レトロな感じが実に良い
・・・ 彼は一息ついた後業務用のpcを使用して、検索をはじめた
(これは俺が思っていた以上にヤバい『世界線』だな。
今のうちに出来るだけ情報を仕入れておこう・・・)
そう考えつつ、色々と調べてみたのだった。
この『世界線』に転移してまだ時間が間もなく、まだぼんやりとした
知識しかない。
幸い、仕事柄各国の文化や言語については勉強していたためそれ
程困らないのだが・・・
一先ず、自分の鞄にあった手帳とペンを使用してメモをとることにした
彼は几帳面な部分もあるためか、端正に書かれた字は綺麗だった。
まず検索エンジンで、『放置田ダンジョン』を打ち込み検索をかける
すると一番最初にヒットするのは、『転移前』ならラノベやアニメ系で登場する
『ダンジョン』関する記事やサイトばかりなのだが、検索ワードを変えたり 単語を
組み合わせ変えると該当する記事やサイトがヒットした。
「マジか・・・」
彼は思わず、そう呟いた
この『世界線』の世界各地には『ダンジョン』が点在しているらしく、
内部も地形を無視した広大さ の様だ。
またモンスターの他に罠などもあるとのことだが、それらは日本国内の
『耕作放棄地』から 発生する『放置田ダンジョン』よりも、
モンスターも罠も危険度が高いらしい
特に出没するモンスターは、日本国内の『放置田ダンジョン』よりも
レベルが高いとの事だ
危険度が高いにも関わらず、世界的に探索者達は『ダンジョン』へ
挑み続けるのは、内部から獲れる特定のレアアイテムや未知の素材が
魅力だかららしい
しかし、それでも一攫千金を狙う探索者達の活躍でも、世界各地の
『ダンジョン』内部の 探索は終わっていないらしく、深層はまだ
未知の領域の様だった
それで何よりも、彼が気になったのは日本国内の探索者だった
「・・・うわぁ、マジか」
江崎は思わずドン引きした
改めて検索してみたが、佐藤などが言っていた通り日本国内の『探索者』職は、
一般職より3k・・・もとい6Kなため、江崎の『世界線』のラノベや
アニメで登場していた人気職ではなくなっている様だ
『きつい』『きたない』『危険』の三Kに加えて、『レア素材が獲れない』
『収入が低い』『負担が大きい』の三重苦な様だ
海外に限ってだが『ダンジョン配信』が人気らしく、数ある配信が功を奏して
探索者達が次々にダンジョンへ進出している様で、世界での探索率は日本国内と雲泥の差だった
検索している限りで何となく彼にも理解できつつあるのは、探索者の
数やダンジョン素材の産出量は国力に直結するため、探索者の母数を増やしたい国々にとってダンジョン』は、金のなる木であり、素材の産出量は
国力を上げるものな事だ
それぞれの国による後押しもあり、現在では『ダンジョン配信界』という分野で
チャンネル登録者が数千万人を超えている探索者は、雨後の竹の子のように
増え続けていると言う事だった
(・・・そんな情勢でも、日本探索業界は環境が違いすぎて人気がないって事か)
江崎はため息を付きつつ、愚痴りたくなる気分に襲われた
彼の知っている知識では、元の『世界線』のラノベやアニメ関連の
探索者はダンジョンの深層から持ち帰った素材で一攫千金を狙う
冒険者達の筈だった
しかし、江崎が『転移』した『世界線』では、そんな
現状を一線画す事は明白だった
日本国の状況は国内的には未熟であり発展途上なためか、
海外勢に後れを取ってる様だった
それもこれも、日本国内の『ダンジョン』が『耕作放棄地』より発生するため に
過ぎないからの様だ
江崎は眉間に皺を寄せつつも、再び検索を始めた。
幸いと言うべきか、日本国内向けの『ダンジョン探索配信サイト』は、海外に
比べると 数が少なくまだ競争率が低い事も判明していた。
どうやら日本国内探索者達は、ダンジョンを攻略する事に主眼を置かない者が多く
主流は趣味の域で『ダンジョン探索配信』をしているらしい
それが主流になるのも、あくまで『日本探索協会』が管理運営している
『放置田ダンジョン』は 5つで、階層もそれほど深くはない事が
挙げられる様だった
5つの中で一番奥深い『放置田ダンジョン』でも検索してみた結果、一号と二号の
『オープンワールド型ダンジョン』というもので、二つとも40階層程度しかないからだ
三号『放置田ダンジョン』は『地下』型ダンジョンの様で、十階層程度しか
存在しない
四号『ダンジョン』はまだ内部調査中のため、訪日観光探索者や
日本探索者に対しての 解放は、もうしばらくかかる様だ。
最後のこの五号『放置田ダンジョン』は、一般開放は予定はしていない事は
佐藤から 聞いてはいた
江崎はこれらのダンジョンの特徴などについて、調べようとして思わず眼を
見張る情報を 発見してしまっていた。
それは同僚の安田が口にしていた『廃神社・廃寺』怪異ダンジョン』と
『『放置空き家』 ダンジョン』に関係した記事などであった。
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