第9話
実家の『放置田ダンジョン』内部でのゴブリンでさえ、彼は苦労して倒していた。
映像を送られてきた、あの全長20m以上はある巨大な両生類を
倒すのは一体どれだけ 苦労するのか想像もできない
そんなことを考えていたら、ドローンを操縦している手が汗ばんでいた事に
気付いた
それはまるで自分が現実の世界にいるのではなく、どこか別の世界に
迷い込んだようなそんな錯覚を覚えた(もっともすでに迷い込んではいるが)
溜息を吐きそうになるのを堪えつつも、再度周辺地形の確認のため
ドローンを操作するのだった
だった
巨大な両生類に気づかれない内に高度を上げながら、熱帯雨林を思わせる
鬱蒼とした樹々が生い 茂る森を飛行する
1km程進み続けてしばらくすると、偶然にも洞窟の様なものを発見した
「いやいやいや、『ダンジョン』の中に洞窟があるっておかしいでしょ!
しかも、こんな樹々が生い茂る熱帯雨林を思わせるような森の中にあるって
不自然すぎるだろう」
江崎はそう独り言を呟いた
しかしここは、現在の地球に近い異世界でもあるので元の『世界線』の常識など
通用するはずもない事に気づくと苦笑した
江崎は腕を組みながらしばらく考えると、一寸先も見えないほど暗い洞窟の中を
ドローンのライトで照らした
すると入口から40m程は明るく照らされたもののその奥は全く見えなかった
「・・・洞窟の内部まで確認する必要があるのか?・・・あるんだろうなぁ」
彼は嫌そうな表情を浮かべつつ、ドローンを洞窟内部へと飛ばした
すると、洞窟の天井は高さ10m以上はあるだろう
その高さに比例するかのように横幅も20m程あり、奥行きに至っては50~60mは
あるのではないか?と江崎は思った
そして洞窟内部の壁は、まるで岩肌のようにゴツゴツしており、
所々苔が生えている
またライトで照らした所には小さな水溜りや小川が
流れている場所もあった。
薄暗いながらもその空間は広いのか、ドローンから送られる映像では全貌を
確認する事は出来なかった
(この奥はどうなっているんだ?)
江崎は好奇心が刺激されたのか、そのまま洞窟内部へとドローンを飛行させた。
すると奥へ進むにつれて暗さと湿気が増してきて、ひんやりとした冷気さえ
感じ始めるほどだった
また、RPGゲームなどで定番のモンスターの姿も確認できた
得体の知れない浮遊生物、熱帯地方の川辺に生息する二足歩行で歩く
大型の草食動物の ヒポポタマス、全長50メートルはあると思われる水生の
大蛇などだ
(・・・うわぁ)
次々とドローンより送られてくる映像を見て彼は思わず、 そう零す。
ダンジョン内部をドローンで飛行する江崎の視界には、まるでファンタジー映画に
出てくるような生物ばかりが徘徊していた。
慎重にドローンを飛行させつつ、更に奥へと進むことにした
すると今度は、RPGゲームなどでもお馴染みである強靭な
巨躯を誇る隻眼のモンスターがのしのしと歩いているのが視えた
体長は2mを優に超える巨体で、まるで重戦車のように鈍重そうな印象だ
「待て待て・・・こいつはサイクロプスか?」
江崎は驚きの声を上げた
映像からでも威圧感は半端なものではなく、彼の喉はゴクリと音を立てていた
遭遇しても勝てるわけがないと彼は思った
幸い、サイクロプスはドローンに気づくことはなさそうだ 江崎は内心安堵し、
今一度周囲を見渡しながら映像を確認した
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