第2話 「テトリアシトリ」
//カチカチ、とゲームのコントローラーを操作する音。
「……師匠? 今日は、何をしているのデスか?」//片耳から聞こえる声。
「FPS? なんデスかそれ? え? First Person Shooter? ……よくわかりません」
「……え? 自分視点から、銃で人を打つGAME、デスか? ……それより師匠、ワタシ……昨日更新された、萌えアニメが観たいデスッ」
「……むうー、そう言われても師匠、ワタシ、ゲームはあまり経験がなくて、得意ではないデス。……それにその、FPS? たとえGAMEでも、人を傷つけるのはあまり……」
「…………でも、umm……」//急に照れた様子で。
「……し、師匠が教えてくれるなら、…………ヤリマス」
「…………」//視線を逸らすような吐息の音。
//カチ! カチカチ! と勢いよくゲームのコントローラーを操作する音。
「――え? 別にイヤならやらなくてもイイ?」
「むううう……師匠ッ、イジワルデス。……イジワルな師匠なんて、ずっとFPSだけしてればいいのデスッ」
「……フンッ」//もどかしそうにそっぽを向く音。
「~~~~っ」//ふてくされた吐息音。
//カチカチ、とゲームのコントローラーを操作する音。
「………」
「――――っ」//チラチラと画面を気にする様子の声。
//カチカチ、とゲームのコントローラーを操作する音。
「Оh、――――WOW……!」//ゲームの内容に反応する声。
「n――――」
「OK…………その調子デス」//興味深々で夢中な声。
//コントローラーの操作音。
「そうデス。そこデス、そこ! Ahー、YES! イイ! いいデス師匠! ……hあン!!」
//ゴトッ、とコントローラーを落とす音。
「……? 師匠? どうしたのデスか、せっかくいいところだったのに?」
「……え? ワタシにFPS、教えてくれるのデスか? ……どうしたのデスか急に? とつぜんのココロガワリに、ワタシ、ついていけマセン……」
「……集中デキないから、デスか? ……OK。……ではオコトバに甘えて、師匠……ワタシにFPS、教えてクダサイッ!」
//近づくような衣擦れの音。
「……もちろん、……テトリ、アシトリ、お願いしマスネ……?」//耳元で囁く声。
◇◇◇
//カチカチ、とゲームのコントローラーを操作する音。
「Oh、NO! 師匠、撃たれました! What!?」
//ゲームオーバーの音。
「――GAME、OVER!? ……も~~、上手くデキません! 師匠、Help!!」
「? フンフン、なるほど。……え? Wait、待ってクダサイ、師匠!」
「……そんな複雑でムズカシイ操作、できないデス。どうせなら、もっとカンタンな方法で教えてほしいデス」
「……え? カンタンに教える方法、デスか?」
「……Wel、そうデスね……、例えば……」
「……ワタシの後ろに座って……」//声の元が前方に移動する。
「……それで、一緒にワタシのを握ってクダサイ……」//片耳をくすぐる、恥じらうような艶のある声。
「……そして、ワタシが下手なトキ、ワタシの上から師匠が、上手なヤリカタでPLAYして……」//片耳に艶のある声。
//主人公の心臓がドキドキする音。
「……はぁ、はぁ、……さぁ、師匠? ……もう一回、GAME、シましょう……?」//艶のある声。
◇◇◇
//カチカチ、とゲームのコントローラーを操作する音。
「Oh、NO! GAME、OVERデス!? ……~~~~、師匠、もういっかいデス!!」
//カチカチ、とゲームのコントローラーを操作する音。
「――――ッ! もも、もう一回デスッ!」
//カチカチ、とゲームのコントローラーを操作する音。
「Ahhhhhhh!? ししし、師匠―――――ッ!?!?」
//ゲームオーバーの音。
「NOOOOOOOOOOO――――――――――――ッ!!」
◇◇◇
//夜の更けた音。
「……すぅー、……すぴー、……すぴー…………んん……」//衣擦れと寝息。
「……んンっ……」
//エミリーを主人公が抱きかかえる音。ギシ、とベッドに身体を下ろす音。
「……し……ししょ……う…………んm……」
「……すぴー、……すぅー…………」
「…………」
//バサっと、エミリーに布団を掛ける音。
◇◇◇
//朝チュンの音。
「……しょう、……ししょ………、………師匠?」//囁き声。
「……おはようございマス、師匠。……今日は……その……イイ朝デスね?」片耳をくすぐる優しい囁き。
//ガタ、と豪快に家具へぶつかる音。
「……どーしたんデスか師匠? そんなに焦って……? ……え? 目を覚ましたら、目の前にいたから? ……ハイ。……実をいうと、さっきからずっと……こうして見てマシタ」
「……なんで……? ……デスか」
「………………」
「…………ししょう、……その、昨日の夜、ワタシが寝てしまった時に……」
「…………ノ、NO、やっぱりなんでもアリマセン。……スミマセンでした、その……ワタシのせいで床に寝させてしまって……」
「……別に慣れっこ……デスか。…………」
「…………師匠、………………それは、嘘デス」
「……NEETにとって、Bedはコイビトだと、どこかで聞いたことがアリマス。……その証拠に、ほら……」
//近づく足音。
「……目の下に、クマができてマス。……ちゃんと眠れていないショウコデス。……無理しないで、今からでもBedで眠らないとダメデス……」
//遠ざかる足音。ボフッ、とベッドに着地し。
「……um……、……なので……、二度寝、してもいいデスよ?? ……いっしょに」
「……添い寝? …………ふふ………その日本語、……ワカリマセン」
//布団シーツがめくれる音。
「……ほら、師匠……」
「……コッチに…………来てクダサイ……っ」
「…………え?」
「……床でいい? 今日は、床のキブン、デスか? …………ッ」
//途端に不機嫌そうなため息の音。
「…………フン、デス。……ワタシ、朝からトテモ傷つきマシタ……! もう知りマセン!」
//布団を被る音。
「…………」
「………………、」
「……まぁ……デモ……」//ちょっとだけ顔を出して。
「……ワタシ…………師匠のそういうトコロが、……トテモ……」
「……」
「~~~~、な、何でもありマセン……」
「……ご、ゴホン」
「…………そ、そうデスね。寝ましょう。……きっとワタシ達、まだ寝足りないのデスネ……ッ」
//布団の衣擦れの音。
「では………、気をトリナオシテ……師匠」
「……二度寝、……オヤスミナサイ…………っ」
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