第2話 泣きたくなるよな話

「お前明日学校行くって言ったわよね?」


「…………はい」


「……それで、なんで家の……家の壁が壊れるのよ……?あとなんでお姉ちゃんがいるのよ」


「リナがやりました。僕じゃないです」


「ミレアさんにやれって言われた。私じゃない」


「ふぁっ……!!私のせいじゃない!この二人がやった!」



───────朝の8時。

普段、学生達は学校へと向かっている時間だが、アレクとリナは朝の件でアリスに怒られていた。


責任の押し付け合いと罵詈雑言が飛び交う中、三人仲良く正座中だ。


まあ、怒られても仕方の無いことが起こったことは事実だが、理不尽極まりない。


家の壁を破壊、近隣への被害、その他もろもろ。

そりゃ怒ることだが、全部僕のせいじゃない。リナのせいだ。


むしろ僕は被害者と言っていい。


いきなりの飛び蹴り。

あれは避けようのない唐突な出来事だったのだ。むしろここまで被害を減らした事に褒めて欲しい。


だが、そんな事情も知りもせずアリスは三人を起こり続ける。


「……だいたい、二人とももう15なんだから早く大人になりなさいよ。馬鹿な事ばっかしてないで勉強!」


「……でもアリスさん、僕と同じ歳で学校やめて旅に出たって母の日記に書いてましたよ。人の事言えないですよ」


アリスさんにそう言うと、普通に頭を殴られた。なんでだよ。


「私達はやりたい事があったから辞めたのよ。ニートのあんたとは違うの」


自慢そうにアリスはそう言うが、日記には普通に「めんどくさいから辞める」と書いていたはずだ。

よくこの人こんな顔できるな。


「…………お母さん学校行かなきゃヤバい」


いきなりリナが時計を指さしながらそう言った。


8時10分。

そうこうしている間に、学校の遅刻の時間が迫ってきている。

これはおそらく今から行っても間に合わないな。仕方ない休もう。


「……しょうがないか、……お姉ちゃんよろしくね」


「りょうかーい!」


するとミレアはリナと僕の肩に手を置いた。

まずい……これは!


「ちょ!まだ学校行くって……」


アレクが制止するがミレアは止まらない。


そして、目の前に広がる学校の門。家から学校まで飛ばされた。

文句を言おうと、後ろを振り返るともう居ない。あの野郎逃げやがった。


僕はこんな所に出来ればきたくないんだ。もちろん勉強もそうだが、1人。たった一人のせいで僕はここが嫌いなんだ

そしてその存在が目の前にいる。


「アレクくんお久しぶりです。そしておはようございます」


「おはようございます……カイル先生……」


こいつのせいだ……


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