バーヴァン・シーの軌跡
第01話 枯れた花
灰色の雪かも分からない何かが降り続け、頭がおかしくなるような悲痛が続く。
鬱陶しいくらいに目に付く。
フロイライン・スターチスという母親は僕を残して死んだ──────────
そして……
「──────好きだね〜それ。何度目かな?それ読むの。暇なの?学校いけよバーカ」
「……いい所なのに、……なんですかミレアさん」
アレク・スターチスが自分の部屋で一人読んでいるとドアの開く音が部屋へと響き、一人の女性が説教混じりに話しかけてくる。
変な服と変な帽子を被った変な人。そこら辺には到底いなさそうな奇抜なファッション。だがそれが彼女には異常に良く似合う人物。
僕がよく知っている人だ。僕じゃなくても誰もが知っている人だ。
七燈の一人にして、変人。ミレアさんだ。
なんとも間の悪い登場だ。
せっかくいい所まで読み進めていたのに邪魔が入ってしまった。
久しぶりにベットの下に置いていた母の分厚い日記を、昨日から夜どうしで読み続けていたらいつの間にか朝になっていた。
それにしてもなんなんだ。
この人はいつもいつも急に。
そんな事を考えている内にも、ミレアさんは勝手に窓のカーテンを開けるし、はよ帰れ。
最悪な気分の朝だ…………
「……それで、なんですか?」
「学校」
「行くと思ってるんですか?僕が?学校に?」
「思わないよ?」
「ですよね。ミレアさん馬鹿なんですから黙っててください」
「うわーでたクソガキ。……なんで君たちの一族は私とまともに喋れないわけ……。……だがしかし!私の家系にも君達特攻が居る!Heyカモンベイベッ!」
そう言って、一人で騒ぐミレア。
なぜミレアさんがこんな事を言うのかというと、僕は絶賛学校のストライキ中だ。
理由は、最近自分の事がよく分からいからだ。自暴自棄と言うやつだり
休むには十分すぎる理由だと思うだろ。
だが、ミレアさんは「いけ!」だのなんだの毎朝くる。
はっきり言ってうるさいしウザイ。耳を塞ごうにも、いつも頭に直接響いてくるから意味が無い。
だがそんな少年の感情とは裏腹に、ミレアが言った通り後ろから一人の少女が少年へと勢いよくやってくる。
そして少女は空中へと飛び上がり、少年の頭へと、壁を突き破る威力でドロップキックをぶちかます。
綺麗なフォームと、頭を凹ます破壊力。
もちろんアレクは綺麗に後ろの壁を突き破って、外まで吹っ飛んで行った。
ドカバキと後ろの壁が崩れていき、周囲にも聞こえる程の音が辺りへと鳴り響く。
「いっタッ!何すんだよ!」
「ミレアさんがやれって言ったからやった」
「…………頭おかしいんじゃねぇの!?」
「お母さんなんて家燃やそうとしたこともあったらしいわよ。私はマシでしょ感謝しなさい」
「実行してるお前の方がタチ悪いんだよ……」
彼女は散らかる残骸を避けながら悪びれもせず見下すように近ずいてき、見下ろすように転んだアレクの前に立つ。
あの人と同じような、引き込まれるような青い瞳に、触りたくなるような綺麗な髪。
だがそのような美しい容姿とは裏腹に、女と思えないような凶暴性と言動の数々。
いつも、冷たい顔をして人を人として見てない。そんな女。
リナ・アスター。僕の一様の姉だ。
「……殺すぞカス」
「やってみろよゴミ」
早速バチバチの喧嘩状態。
いつもこうだ。仲は悪くないが、一々リナの言動が酷いのでいつもこうなる。
「────────はい、あなた達ご飯できたから家入ってきなさい」
二人の間を割るように一人の女性が入ってくる。
「お母さん、アレクが今日も学校いかないって」
「アリスさん……」
鬼の目。昔からこの人はこういう目だ。
凛としていても恐怖を抱く。
「はーい、アレクはさっさと学校行くのよ」
母のアリス・アスターだ。
ほんと最悪だ。
───────僕は母、フロイライン・スターチスが死んでから、この家に、アリスの家に引き取られた。
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