第6話
始皇帝になるはずだった嬴政は、まだ邯鄲にいた。
呂不韋もいるし、貧しい生活はしていない。
でも、屋敷から出られない生活みたいだ。
取り次いで貰い、秦の公子の
子楚は、会ってくれた。
「これはこれは。趙国の大将軍自ら出向いてくださるとは……」
「秦国とは、戦争中でしたので。辛い生活をしているかもしれないと思い、参上いたしました」
でも、身なりも整っているし、大丈夫そうだな。
子楚としては、平和な世の中を望みたいんだとか。
少し言葉を交わして、屋敷を後にした。
「そろそろ、秦の昭襄王が、逝去すんだよな~。次の孝文王は、老齢で1年で終わりだし。子楚も荘襄王になるけど、3年で終わりだ……」
問題は、4年後か……。
◇
「秦の昭襄王が、亡くなられたと?」
「うむ、それで子楚さまが、秦国に帰られた。ただし、妻と子供を残してだ」
う~ん。困ったぞ。
幼少の始皇帝への迫害が、始まりそうだ。
とりあえず、俺の趙家で預かることにした。これには異論が出なかった。まあ、目障りだったしね。
それと、秦軍は戦争を止めた。
一時的かもしれないけど、平和になるかな~。
そう思ったんだけど、韓・魏・楚が動いた。奪われた土地の奪還だね。
「趙国も動くべきだ!」
下級役人が騒いでいる――と思ったら、郭開だよ……。
暗殺して、静かにさせる。平原君は、見て見ぬ振りをしてくれた。
それと、白起は自害したそうだ。
これで、当分は大丈夫かな~?
◇
一年が過ぎると、子楚が王になった。そんで、嬴政を返せと来た。
さて、どうしようか……。
暗殺が、最適だとも思う。
だけど、まだ何もしていない子供を殺すのも気が引ける。
子楚に手紙を書いてみるか。
『嬴政を太子にしないのであれば、返します。趙括より』
すぐに返事が返って来た。
『帰国してから、子供をいっぱい作ったのでOKです。子楚もとい荘襄王より』
大丈夫そうだ。
丁寧に秦国に嬴政を送る。これで、趙国に恨みもないだろう。
「これで、歴史が動き出すかな~」
魏国の信陵君が、秦国に猛攻を仕掛ける。
趙国は、廉頗将軍を派遣した。もう平原君も、俺の言いなりだ。
俺は、丞相代理といっても過言ではない地位についている。
まあ、そうなるよね。戦争では、負けてないし、土地を取り返したので民心掴んでるし。
嬴政の保護は、先見の明があったとしか言えない。嬴政を迫害とか殺害してれば、後から秦国に恨まれてたしね。
全ての策が、当たっている。
歴史知ってますからね。
「これからどうなされる?」
平原君からだった。
「う~ん。とりあえず、内政の充実からで」
後数年で、趙国の孝成王も死去する。
その時に、廉頗将軍を引き留められれば、まだ趙国はなんとかなるはずだ。
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