バイトリーダー、進路指導の難しさを学ぶ。
その瞬間、俺は自分の力を理解した。
知ったというよりも、思い出したという感覚に近い。
なぜ今まで分からなかったのか不思議なくらいだ。
以前にジャミルが
今の段階で俺が把握してる
後者の名称に関しては色々と思うこともあるが、
「強すぎだろ」
自然と口から漏れた。
【歯車管理】は大したことない。
バイト仲間限定でステータスを探れるだけ。
劣化版の【
それも解析の宝玉タイプのもので、AからEの5段階でしか把握できない。
大問題なのは【不可欠な歯車】の効果だ。
端的に言えばバフ。
バイト仲間のステータスを強化できる権能だ。
その上昇幅は3段階。正しくは3種類の
【
【
そして
尖りすぎだよ。
ナハトと違って効果範囲は狭いけど、それを補って余りあるほど効果量が大きい。
各ステータスが一律で20も上がる【信頼】でさえ狂ってるのに、【依存】なんてDEXが74も上がる訳だしな。
しかもデメリットが見当たらない。完全に使い得の権能だ。チートだよ。
同じ対象に複数の技能を使うことはできないものの、バイト仲間にさえなれば無条件でステ1割上昇って頭がおかしすぎる。
見習い騎士達が朝から晩まで筋トレをやっても、STRやVITは1上がるか上がらないかって程度なのにさ。
ルージュ曰く、ステータスはただの参考値。言わば才能の数値化だ。
INT90でも魔術の教育を受けなければ宝の持ち腐れ。
STR・DEX・AGIの3種類ともが80オーバーでも、戦闘経験が1回も無いならウチの見習い騎士にも勝てやしない。
重要なのは、才能という基礎力をどう応用するか。
応用しないならステータスなんてただの数字でしかない訳だ。
今回の腕相撲だって筋力があるだけじゃダメ。
勝つための力の入れ方や駆け引きの方法を知らないとね。
STRとVITが200くらいあれば話は別かもしれないけど。
という訳で、まずは見習い騎士のステータスをチェックしてみようか。
【歯車管理】の使用には発声も動作も必要ないみたいだから黙ってやってみる。
まずは1番近くにいる少年に意識を集中してみる。
名前:カイル
年齢:16
階級:下級平民
クラス:
STR:C
VIT:C
INT:D
MEN:D
DEX:B
AGI:C
LUK:C
CHA:E
増長値:1
あれ? クラスも分かるじゃん。思ってたより優秀な力だな。
というか増長値ってなんだ。
言葉通りでいくなら、どれだけ調子に乗ってるかってことだよな。
比較対象がないと1が高いのか低いのかも分からないから次にいこう。
名前:ボリス
年齢:15
階級:下級平民
クラス:【剣士】
STR:C
VIT:B
INT:E
MEN:D
DEX:C
AGI:C
LUK:D
CHA:E
増長値:0
また【剣士】だ。騎士を目指してるんだから当然と言えば当然か。
そして増長値が0な訳だが、よく考えると増長してないということは、自分に自信を持ててないということでもあるのでは。
これで最大値が10じゃなくて100とか1000だったらやばいよ。
このブラック騎士団の過剰なシゴキのせいで心が折れかけてるって解釈できるし。
とにかく最後、
名前:デニム
年齢:15
階級:子爵家庶子
クラス:
STR:D
VIT:D
INT:B
MEN:B
DEX:A
AGI:D
LUK:C
CHA:D
増長値:0
えぇ。貴族やんけ。
確か庶子って正妻以外の女性から生まれた子って意味だよな。
しかも【庭師】ときた。
ステータスもデスクワーカー寄りだし、なんでこの子は騎士団にいるんだ。
いや、この考えはおかしいか。
才能だけを見ればガーデニングをしてるのがベストだと言えるが、デニムくんが騎士になりたいと思ってるならその気持ちを尊重すべきだし。
思えば中学時代にもいた気がする。学年1位で医者の息子なのに、将来はマンガ家になりたいって言ってた奴。なれたかは知らんけど。
あの時の担任の気持ちが少し分かるな。特にステータスとクラスを把握できちゃうせいで、デニムくんがわざわざいばらの道を歩もうとしてることが分かる訳だしさ。
スペックで言えば俺の付き人に欲しいところだ。
これが終わったらスカウトをしてみよう。
一応は当家のガーデナーにならないかも聞いてみようかな。
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