あの巨岩のアレが怖かった・2

 越木岩神社の御神体である巨岩は、本来は大阪城を作る時に切り出されるものであったらしい。が、様々な不思議現象が発生して結局は大阪まで持って行くことが出来なかったと。

 なごやか雰囲気いっぱいの母娘が去ってから、あたらめて巨岩をしげしげと眺めてみた。

「なんの変哲もない、フツーのでっかい岩なのになあ」

 わたしは、ここ越木岩神社の創建は詳しく知らない。まして、この巨岩にしめ縄を張られたりした時期がいつ頃なのかもわからない。

 でも、この神社は市内にある西宮神社と何かしらの関係はあるらしい。阪神西宮駅の近くにある社のことだ。全国の、えびす系神社の総本社とされている。

 メジャーを出して測る気はないけれど。御神体の高さは二メートル超で横は大人が六、七人ほどが手を繋いで周るくらいの幅かなあ、という感じ。

「せっかく来たのだから、御神体の撮影をさせていただこう……」

 ひとりごちてから、深々と一礼をした。それからスマホのカメラを向けた。

「うわぁ!」

 思わず、変な声が喉から出てしまった。

 ……顔認証の黄色い四角の枠が、七、八個ほども映り込んでいる。言い方は非常に不謹慎になるが、単なる岩ですよ? 

 こんなこと、到底ありえない。

 御神体の上に男性が居ると言っていた、さっきの母娘の会話よりも怖いっつーの!

 わたしは御神体にペコペコ頭を下げて、更に坂道の上をめざした。この神社自体が、丘の麓にあるのだけれども頂上にあたる場所には、もうひとつの磐座があるらしいのだ。

 先日の墓地で遭遇した出来事や、さっきの顔認証事件も含めて。ここまで来ると「次になにが待ち受けているのか」楽しみになってきた。






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