第4話 電車に乗る?グリーン車はどうするの?

ここはお金が存在しない世界。良いことをした分、報酬として翌日の時間の長さが増える世界。



『感謝が通貨か…』


カイトは駅に来ていた。


『改札は…ないな。もちろん券売機なんてものはない。行列がないのは魅力的な世界だな。』


『電車に乗るのにも、ただただ贅沢をするだけだと翌日の時間は減るのか。新幹線で早く目的地に着き、翌日時間短くなることもあるのか。うまく使うにはひと工夫がいりそう。』


『誰かの役に立ったご褒美に早く移動。誰かの役に立つために早く移動。そんな何かキッカケがあると使いやすい感じがする。』


そんなことを考えながら、新幹線のグリーン車に向かう。


『お金無しで乗れるのだったら、ついグリーン車に行ってしまいそう…。』


グリーン車に入るところにはタッチパネルがあり、予約している席を確認して入るシステムがあった。


『席をとっている人しか入れないのか…。あっ、このパネルでも空いてる席をとることは出来るのね。』


車両の外側に移動し、車体の窓越しにグリーン車内を眺めながら、他の車両へとプラットホームを歩いて行くと気になることがあった。


『グリーン車を利用するときと、他の車両を利用するときって、何が違うんだろう?』


『ご褒美、これから役に立つ思い、他にも何かがある気がする。この座っているだけに思える空間内でもプラスになる何かをしているんじゃないか?』


そう思いながらカイトは新幹線の窓越しに違いがあるか眺めていた。


『グリーン車の人がみんな車内でもずっとPCを使って仕事しているわけじゃなさそうだ。ただ、移動中にも感謝を伝える、役に立つ何か、仕掛けがありそう。』


『移動中もプラスにする発想か…。お金の世界だと払うことで得る権利から、当たり前になっていることってあったのかも。』


カイトはそうブツブツ独り言を言いながら駅をでた。周囲からは何度か振り返られて見られていたが、本人は気づいていなかった。


(結局、カイトは電車には乗らなかった…)


本編

https://kakuyomu.jp/works/16817330657339730406

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る