第2話 憂鬱のち放棄のち美少女
はい、無情にも時間は過ぎて地獄の月曜日になりましたよっと。
今の俺のコンディションは最悪も最悪。
憂鬱でしょうがない。
「………………行きたくねぇ……」
「馬鹿なこと言ってないで、さっさと支度して行ってこい」
大学生の兄貴がソファーでテレビを見ながら宣う。
そんな兄貴にいつもは逆らわないが……今日の俺は一味違うぞ。
「リア充の兄貴に何が分かるってんだ。今の俺はやさぐれてるから、素直に言うことは聞かん!!」
「じゃあ母さんに連絡しとくわ。『瑛太が学校行かないからゲーム捨てといて』って」
「こ、この悪魔! 鬼! 人でなし! クソリア充め爆発しろ! ———覚えてろよ!」
「最後私怨が混ざってるぞ。いってら〜」
俺は兄貴に計数十万円に登る数多のゲーム機を人質に取られたので仕方なく家を出る。
そう……出たのはいいが、あら不思議。
まるで地面に縫い付けられたかのように足が全く前に進まない。
その理由は明白。
学校でどんな噂が飛び交っているか不安でしょうがないこと、ただそれだけである。
「うーん……ダルい、ダルすぎる。此処までになるくらいなら告白なんてしなきゃよかったな」
しかし、家を出たからには———別に学校行かなくていいか。
今まで1日も休んでないし、たった1日くらいから母さんも許してくれるだろう。
許して貰えないと俺の全ゲームが死ぬという一種の賭けだが、学校で笑いものになるくらいならゲームを捨てるぞ俺は。
———と言うことで、今日は学校をズル休みしてゲーセン(ゲームセンターの略)に行くことにした。
俺は早速学校と真反対の電車の駅へと回れ右して向かう。
「やっぱり行くならイ◯ンモールのゲーセンだよな」
「ん、私もそう思う」
「おお、やっぱりそうだ……よ…………んあ? ———な、何故此処に姶良さんが……?」
俺は突然何者かに同調され、思わず声の方に顔を向ける———と同時に目を見開く。
何と、真後ろに相変わらずボーッとした様な顔で立っている姶良柚の姿があるではないか。
「ん、止まるな」
「あ、はい———じゃない! え、俺についてくるの?」
「ん」
「あ、そうですか……」
俺はこれ以上姶良柚と話すのを諦めて、姶良柚を連れて駅に向かうと、そのまま切符を買って電車に乗る。
勿論その間に2人の会話はない。
ある筈がない。
先週の金曜日に告白して振られたばっかりだぞ!?
何でこんな傷心(7割完治)の俺と一緒にゲーセン行こうと思うんだよ……明らかに人選ミスってるだろって。
よし、今からでも姶良柚には学校に行ってもらうことにしよう。
そうすれば平日のクソ午前中にゲーセンに居ても多少注目度合いは減るはずだ。
「あ、あの……姶良さん———って寝てるんかーい。無防備すぎやぞコラ」
俺が窓に寄り掛かって眠る姶良柚にツッコミを入れていると、目的地を告げる車掌の声が聞こえてきた。
それと同時に姶良柚が起床する。
「……ん、おはよう」
「おはようじゃねぇんですわ。彼氏でもない男の前で無防備に寝る美少女が何処にいるんだよ」
「……? 此処に居る」
「…………あーよし、取り敢えず降りようか」
俺は全く意味の分かってなさそうな姶良柚を説得するのを諦めて電車を降りる。
あそこで説得というか注意しても、結局分かって貰えず降り損ねるだけだろう。
———やはり女は何を考えているのか分からない。
今日新しく得た教訓であった。
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