第17話 SNS
「お前以外スパイだってことだよ。」
こいつが何を言っているのか一切わからなかった。でも3人が真剣な目でこちらを見てくるから本当なんだろう。でも一切理解が出来ずに思考が停止していた。どういうことなんだろう。
「晴人。お前が何をしたのかわかっているのか?」
「どういうこと。」
「そうなのね。一から説明してあげましょう。」
「そうだな。」
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クルミが好きだ。そう感じたのは1学期の後半のことだった。人をこんなにも意識するようになるなんて思ってなかった。とにかくどこでもクルミの事しか考えることが出来なかった。しかし、
「晴人。話あるんだけどいい?」
「どうした?幸希珍しいな。」
「ああ。あのさ。クルミと付き合う事になったんだ。」
「え?」
「クルミは誰にも知られずにいたいって言ったんだけどさ、俺ら親友だろ?隠し事なんてできないなって思って。」
「は?」
「だからお前にはいう事にした。」
「お前間違えんな。もう親友じゃないからな。」
幸希は驚いた顔をしていた。目を丸くしてこっちを見つめていた。
この時からだろう。俺と幸希との間に溝が生まれたのは。幸希はどんな事があっても俺のことを見捨てないでいてくれた。中学で彼女に対する噂が広がった時も幸希だけは助けてくれていた。そのおかげで噂はすぐになくなったはずなのに俺は恩を忘れていたのだろう。
とにかくクルミが幸希に取られた。それが悔しくて苦しくていつも1人でいた。だからどうしようと考えていた。そんな中SNSという手段を見出した。とにかく幸希の悪口を書き込んだ。
「あいつは二股している。」
「裏の顔は人としての心がない。」
「生きている資格なし。」
俺はそんな心無い言葉の数々を書き込んだ。こうすればクルミも幸希のことを諦めるだろうと。
ありがたい事にこの噂はすぐに広がった。幸希は色々な人から心無い言葉をかけられるようになっていた。しかし、
「幸希くん大丈夫?」
「ああ。クルミは何かされてないか?」
「大丈夫だよ。」
「よかった。」
「ごめんな俺のせいで。学校に居ずらいだろ。」
「ううん。そんなことないよ。」
「ありがとな。」
クルミは絶対に幸希のことを嫌いにならなかった。2人の絆は俺の思うよりも強く固く結ばれていた。そんな状況が許せなかった。
「直接嫌がらせしてやる。」
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