第16話 惨め

この会で追放されることになったのは、華奈だった。自分の行動に責任を感じ、誰にも発言させず自分が追放されるようにさせた。初めは12人もいたこの部屋にはもう5人しかいなかった。

夜のターンでは優希が殺された。正直もう何も感じなくなっていた。いやぼーっとしてしまっていたというのが正しいのだろうか?


いつから俺はこんなに惨めな存在になったのだろうか。

中学生の頃俺には初めての彼女ができた。正直嬉しかった。すごく好きってわけでもなかったが、少し気になってはいたので付き合うことになった。

「今日も一緒に帰ろ!」

「そうだな。」

「今日はねいろんなことがあったの。聞いてくれる?」

「おう。もちろんだ。」

俺はこんなたわいのない会話が好きだった。でもいつからか不満を感じていた。彼女と意見がすれ違うとすぐに暴言を吐くようになってしまった。そして俺の我慢は限界に達していた。


そんなある日彼女からこう言われた。

「ねえ。別れよう。」

「は?なんで。」

「もう晴人くんが怖いの。何かあるたびに怒られて。いつか殺されるかもって。」

「そんなことするわけないだろ。」

「わかってる。でも、こわいから。もう好きじゃないから。」

「ちっ。あっそ。これでもか。」

俺は彼女がいるという称号を手放したくなかったのだろう。俺は気付けば、彼女の髪を掴んで床に叩きつけていた。彼女の目は恐怖で怯えていた。


翌日俺は別れた。彼女に暴行を振るったという噂が学校を駆け巡った。でも俺は動じなかった。もうその頃には忘れていたから。この出来事を。俺は都合の悪いことの忘れるスピードが異常に速く、しかも感情的になるとすぐに人としてあり得ない行動をとってしまう。


本当の愛。本当の友達。そんなものが俺にはなかった。遥の言葉でハッとした。もう耐えられなくなって俺はみんなにバレないように涙を流した。そんなことをしていると、3人が近づいてきた。遥がハンカチで俺の頬を流れる涙を拭ってくれた。

「ようやく気づいたか。」

「本当。遅すぎるわ。」

「え?」

俺は3人の言っている意味がわからなかった。目を丸くしていると、

「あれ、やっぱわかってなかったの?」

「じゃあなんで泣いていたんだ?」

「え?」

なんで3人もびっくりしてるんだ?意味がわからない。は?

「どういうこと?」

俺は意味がわからなくて聞いてしまった。大和が笑いながらこう言った。


「お前以外スパイだってことだよ。」

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