第14話 愛
「大和くんがスパイですよね。」
「なぜそうなったんだ。俺はいかにも普通じゃないのか?」
「いえ。全然。」
「どこが普通じゃないのか言ってみろよ。」
「まず、普通なら人をけなしてばかりのあなたがなぜここまで協力的なのか。」
「は?じゃあお前死にたいの?」
「そんなこと言ってません。」
「協力しないと死ぬぞ。お前も。お前調子乗んなよ。」
「ほら。この姿が普段どうりなのに一切こんな姿を見せなかった。」
「そんな姿があって何が悪いんだ?」
「私が思うのはそれだけではありません。」
「なんだ。」
「なぜさっきからあなたが仕切っていたのかがわかりません。」
「はあ?別にいいだろ。」
「いいえ。よくありません。あなたが仕切っている姿をあまり見たことがないのになぜこのような時だけ仕切るのですか?」
「は?意味わかんねえ。」
「いつも何事にも興味のないあなたがなぜ仕切っているのですか?」
「は?黙れよ。」
「リーダー的存在の優希さんがいるのになぜ任せないのですか?」
「どうでもいいだろ。」
「なにか仕切られると都合の悪いことでもあるんですか。」
大和が固まった。そんなとき春乃が叫んだ。
「もういい加減にして。」
全員の視線が春乃に向けられる。
「大和くんが何事にも興味がない?人のことをけなしてばかりの人。冗談もいい加減にして。」
「冗談ではありません。本気です。」
「ならあなたは病気よ。大和くんは優しい。いつもクラスのことを考えてる。大和くんとデートしてるときいつも聞くの。明日はどんな面白いことをしようかなって。いつも言ってる。そんな大和がそんな悪口を言われるなら私は黙っていられない。」
「外から見てそう思われたらそうですよ。」
「だまれ!外面しか見てない外側の人間が大和くんのことをけなすんじゃないよ。本当のスパイはあなたなんじゃないの?ねえ。」
「本当にそうだと思いますか?」
「ちょっといいか。」
再び大和が話に参加した。
「俺が仕切っていた理由。それは、、」
全員に緊張が走る。
「春乃を守るためだ。」
春乃の目に涙が浮かぶ。
「春乃に死なれたら俺は困る。それだけ春乃を愛しているから。」
そうして大和が春乃に向かって手を広げる。そこに春乃来ると、2人は泣き始めた。
「春乃ありがとう。」
「ううん。こちらこそ。愛してくれてありがと。」
2人は見つめ合い、そしてゆっくりと唇を近づけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます