第13話 占い師

「真衣って占い師じゃなかったっけ。」

全員の血の気が引いた。


「確かにそうじゃねえかよ。」

「お前なんでもっと早く言わないんだよ。」

「僕もあの時気づいたんだ。」

「嘘つけ。本当は知っていたんじゃないのか?」

「本当に知らないんだよ。」

「お前がスパイだろ。」

そんな流れから俺がスパイに仕立て上げられた。なんど弁明したって信じてくれなかった。恐らく俺に発言のせいだ。そのせいで一切信じてくれなくなっていた。俺の本性は残念ながらこれだ。


中学のとき彼女がいた。俺は機嫌が悪くなるとその彼女を蹴った。殴った。その事実を隠蔽するために彼女を刃物で脅し、先生や親にチクらせないようにしていた。しかし傷が残るこのやり方は彼女がチクらなくてもバレてしまった。彼女とは別れそん時は平凡に過ごしていたけど。高校になって新しく好きな人ができた。それがクルミだったんだ。今思い出した。


クルミが好きで仕方がなかった。どうしても自分のところへ飛び込んできて欲しかったから。人をこんなにも好きと感じたことは一度もなかった。中学のとき彼女は向こうから告白されてまあいいやみたいな感じだったから。とにかくクルミが好きで仕方がなかった。でもそんな思いは届かなかった。俺が親友と思っていた幸希がクルミと付き合ったという噂が流れた。


最初は信じられなかった。だけど、写真を見た時。絶望した。俺はそこから狂った。

直接暴行を加える。これは無理だと感じていた。だからSNSを活用した。裏垢を作って嘘の噂を書き込み続けた。それが成功したのだ。2人はクラスどころか学校全体の敵になっていた。俺は嬉しくて仕方がなかった。クルミを巻き込んだのは、最初は申し訳ないと思っていたけれど、もう敵だと感じていた。


俺の裏垢は誰にも正体がバレなかった。2人を除いて。


「お前がスパイだろ。」

「いい加減自白して。」

「彼はスパイではありません。」

華奈が立ち上がっていった。

「彼がスパイなら貫き通します。忘れたということを。」

「はあ。」

「つまり、真衣が占い師ということを忘れた人と、意図的に発言しなかった人の二組に晴人くん以外の5人が分類されます。意図的に発言しなかった人がスパイになります。」

「なるほどね。」

「それならあなたも入っているのね。」

「そうですが、スパイならわざわざこんなヒントを皆さんに教えますか?」

「それはそうなんだよな。」

「じゃあだれがなんだ。」

「さあ?」


「大和くんじゃないんですか?」

華奈の発言でみんなは驚いた顔をした。

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