第12話 本性

「裏切り者が俺に触れるな。」


真衣が目を丸くして呆然と俺を見つめていた。他のみんなもそうだ。俺のこんな姿を見たことが無いからだ。きっと。

「どどどどどどうしたんだ?」

「初めて見た。そんな姿。」

「あれが裏のあいつ?」

室内はざわめく。そんな光景で俺はハッとした。やばい、と。

「ごめんみんな。気にしないで。」

俺はそう言った。しかしみんなの目はつめたかった。


「で、真衣なんだよな。」

「うん。それは確定でいいと思う。」

「でも晴人にはびっくりしたな。」

「あんな感じなんだ。裏って。」

「真衣も大変だったんだな。」

俺の一件で雰囲気は最悪になったが、真衣を追放するという意見で一致したためこれ以上なにもする必要はなかった。いや、真衣がスパイそうみんなが確信していた。


「投票の時間よ。」

クルミが入ってきた。

「早く席に座って。」

みんながなんの抵抗もなく座っていく。

「あら、みんな素直に従うようになったのね。」

「抵抗しても無駄だろ。」

「そう。じゃあ早く投票して。」

そんなやりとりを聞き流していた時俺はあることを思い出した。

「待って。」

俺は叫んだ。しかし、

「投票の時間は黙って下さい。処刑しますよ。」

そう言われて俺は静かに座った。


「開票の結果、、真衣あなたよ。」

銃口が向けられる。真衣はもう抵抗しなかった。真衣は静かに倒れた。

クルミが静かにこっちに向かってきてこう言った。

「晴人。2回も好きな人を殺すなんて、終わってるね。」

「え、、、?」

クルミは小さくまた微笑んだ。そして再び前に立つ。

「夜のターンよ。」

クルミが指を鳴らすと前からガスが出て意識が遠のいた。


また何かがなっている。

「朝の時間よ。」

その合図でみんなが起きだす。そしてココネの頭がそこにはなかった。もうみんな死体を見ても何も感じていない。慣れというものは非常にこわいものだ。

「再び会議を再開して下さい。」

「ちょっと待って。スパイが何人いるかだけ教えて。」

春乃が叫んだ。

「自分で考えなよ。赤ちゃんじゃないんだから。」

そう言って誤魔化された。


「スパイは2人だったのかな。」

「そうかもね。真衣は確定だと思うわ。」

「というかなんでお前は叫んだんだ。晴人。なにか言いたいことでもあるのか?」

「あ、あの、、」

「お前どうかしてるよ。」

「え?」

「何が裏切り者は触れるなだよ。お前は王様か?」

「いや、違くて。」

「で、直前になって罪悪感が出てきて止めようとしたんだろ。」

「いや、、」

「まあお前の話聞いてやるよ。なんで叫んだんだ?」


「真衣って占い師じゃなかったっけ。」

全員の顔の血の気が引いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る