第11話 生贄
「投票の時間よ。」
もうこんな時間なのかよ。
「おいどうするんだ。なにもきまってないぞ。」
「やばいやばいやばい。」
そんな中、康介が立ち上がった。
「俺を生贄にして、時間を延長して下さい。」
「だからそれは、、、」
「僕はもう限界です。こうやっている間にもくらくらしていて、いつ本当に倒れるかわからない状況です。だから俺を犠牲にして皆さんは生き残って下さい。」
俺たちは声が出なかった。止めるためにかける言葉も見つからなかった。康介は静かにクルミの前に向かう。
「申し訳なかった。あの時は本当に。」
康介はクルミに話しかけた。クルミが小さく微笑んだ。
「早く俺を殺してくれ。」
「さよなら。」
銃声が鳴り響き、また1人犠牲となった。
もうすでに4人が犠牲になった。みんな耐性がついたのかわからないが、銃声が鳴り響いても誰も悲鳴をあげる人がいなくなっていた。全員が呆然としていた。残りは8人。
「どうすればいいんだ。」
「こう言う前になにも考えずに追放するほうがいいのかな。」
「そうかもね。」
「なんか怪しいと思ったことってあるかな。」
そんな時ココネが口を開いた。
「真衣じゃないの?」
「なんでそうなったの?」
「今までのことずっと考えてたの。そしたらおかしいことが一個だけ。」
「なんだ。」
「クルミは何も言ってないのに、どうして夜のターンがあるってわかったの?」
「いやそれは、、」
確かに。確かにそうだ。あの時夜のターンと言ってたのは真衣だ。確かにそれはスパイで全てのことを知ってないと難しいよな。
「人狼ゲームっていうから。あるかなって。思っただけ。」
「へえ。」
「普通に考えたらあんた怪しいよ。あの時みんな見逃してたけど。」
「そうだよな。真衣そうなのか。」
「違うって。ねえ。違うって。晴人くん助けて。」
「真衣。申し訳ないけどそんなこと言ってられないんだ。みんなが生き残るために。」
「そんな、、」
真衣は膝から崩れ落ちた。
「なんで、、、なんで私なの。違うって。人狼ゲームだから夜のターンがある。そう思っただけじゃん。」
そうやって泣きじゃくった。俺の足にしがみつくついてきた。でも俺はそれを振り払った。真衣は困惑した表情を見せた。そうして俺は真衣の涙のたまったその目を見て俺はこう言った。
「裏切り者が俺に触れるな。」
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