第10話 ドッペルゲンガー
「あれがドッペルゲンガーだから。」
全員が驚きを隠せない。そして同時に言葉も出なかった。
「り、り、理由は何かあるのか?」
「うーん。確信があるわけじゃないからなんとも言えないないけど。彼女が入ってきた時妙な違和感があった。それはみんなあったはずじゃない?さっき殺された颯太も言ってた通り。」
「確かに違和感があったな。なんと言うか既視感と言うか。」
「そうでしょ。それでみんなの違和感は彼女が仮面を取ったあの時確信に変わったはず。」
「ええ。もちろん。」
「でもクルミは生きているはずがない。そうでしょ?大和くん。春乃さん。」
2人が同時に頷く。遥が続ける。
「なぜそんなことが起こったのか。」
「なぜなんだ?」
「ドッペルゲンガーだから。」
「はあ。」
「正確に言うと。双子の姉じゃないかな。」
「なるほど。つまりあれはクルミじゃないわけだ。」
「そう。」
「なるほどだからおかしくと思った。」
「私はずっと違和感を感じていた。どの高さから飛び降りたか知らないけど、もしかしたら幸希がクッションになって助かったとしたらできるし。」
「そうね。」
「でも。2人の話を聞いて。確信した。」
「ドッペルゲンガー、、、と。」
「そう。」
「確かにそれしか考えられないな。」
「この謎は解決っと。」
「あと何があったっけ。」
「なぜスパイがこのタイミングで送り込まれたのか。」
「そうか。それだ。」
「確かに疑問でしかないな。」
みんなが何かを話している。それは聞こえる。でも俺はすごく引っかかっている。少しおかしいんだよ。あのとき、死んだのが本当にクルミなのだろうか。それが引っかかっている。今俺たちの目の前に現れているクルミと、あの時死んだクルミ。どちらのほうが違和感を感じるか。それが俺からするとどうしても、あの時死んだクルミがクルミじゃない気がするんだけどまったく根拠はないが。違和感だけが残っている。
「で、なんでなんだ?」
「本当にわからない。」
みんなは頭を抱えていた。なぜなら今更スパイとして俺らに協力をお願いする意味がわからないからだ。あんだけ憎しい俺らに。彼女がクルミの姉だとすると、妹と、妹の彼氏を殺した奴らに協力なんて求めないだろうに。みんなそこが引っかかって、時間だけが過ぎていった。
「投票の時間よ。」
もうこんな時間なのかよ!
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