第8話 書き込み

「あれって、、」

「クルミだよね、、」


全員が動揺していた。それもそうだ。なぜなら彼女は死んだはずだったのだから。そして同時に俺たちは恐怖を覚えた。これから復讐がはじまる。いやすでに始まっているからだ。もう3人死んだ。どうするべきかわからなくなっていた。

「ねえ、どうするの?」

真衣が泣きながら聞いてくる。

「まず整理しよう。」

そう言ったのはやはり優希だった。

「疑問がいくつかある。」

みんなが頷く。

「一つ目。なぜここなのか。」

「確かに言われてみれば。」

「二つ目。なぜ今日なのか。」

「さあ。それは関係ないんじゃない?」

「あるわ。」

黙っていた遥が口を開いた。

「2人が自殺したのはちょうど一年前の今日だから。」

「そういうことか。だから今日なのか。」

「三つ目。あいつらを責めていた時のメンバーはこれで全員だろ。」

「うんそう。」

「今となっては申し訳ないけど。」

「しかし。今となって裏切り者が現れたこと。」

「今更、クルミが許すはずもないし。」

「最後に。なぜクルミが生きているのか。」

「それが最大の謎だな。」

「これがわからないとスパイを見つけるのは厳しいと思う。」

「確かにみんなで考えるぞ。」

「他に疑問がある人いない?」

「確かにうちらが主犯格かもしれないけどあの時ってSNSが原因だったよね。」

俺の心臓が強く早く動き出した。

「そうそう。うちらがそれを見つけて幸希を責めた。」

「でもそれは誰だったんだろね。」

「まあそれも考えてみるか。」


真衣の一言で思い出した。俺が書いていた。その光景が思い浮かぶ。必死になって幸希の悪口を書き込み、嘘を書き込み、その反応によりいいねがついていく状況に快感を覚えていた。ここにいた12人で1人を取り囲み、責める。そんな毎日を繰り返していた。そうだ、俺はクルミが好きだったんだ。幸希に取られたんだ。あれだけ責められあれだけのことをされている幸希に寄り添い、絶対に1人にさせていなかった。それで俺はもう耐えられなくなったんだった。

「お前ら2人で死んだら。」

この書き込みをしてしまった。


「晴人くん聞いてる?ねえ。晴人くん。」

「ごめんごめん。考え事をしていた。」

「もうしっかりして。」

「わりいわりい。」

心臓の鼓動が速くなり爆発しそうだ。

(なんで忘れていたんだろう。初めはあんな仲が良かったのに。こんなことになっていなかったのに。)

泣き出しそうな感情を抑えみんなと話し合いに参加した。

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