第二十六章 ①予感直感(グッドフィーリング)
稲佐の浜では神事『
早朝七時。
「おまたせえ! いい天気だねえ?」
「コン太、おはよう! ねえ見て見て? 空がキラキラしていて綺麗だよ!
「イヒヒッ! そうだねえ! やたらとキラッキラだねえ? べらぼうに『
「うんっ! なんだか縁起が
「
「今年も
「あっ、そうだ! 『
「ふたりは行かないの?」
「それがさ、『龍神・緊急会合』があるんだよ」
「え? 緊急、って……?」
凛花の表情がわずかに曇る。ノアが笑う。
「ふふっ、心配しないで? 実はね、今年のカミハカリに『
「わわっ! 八大万能龍神? 八尊目に私も会えるかな?」
「もちろんよ。だって凛花はイレーズが公認している唯一の『龍使い』ですもの」
コン太が説明する。
「基本的に
「地球外生命体……」
「イヒヒ! まあそれを
「ふふ、そっか。確かにそうだよね。だから
「そういうこと! それにさ、八尊目が地球に
「コン太もノアも会ったことがないの?」
「ええ、そうなの。だからみんなソワソワしちゃって落ち着かないのよ」
「まあとにもかくにも本年本日のカミハカリは……! ジャンジャカ、ジャカジャジャーーーンッ! 超絶ウルトラスーパースペシャル(特別)な予感がするのさっ」
「ふふ、そうね。きっと飛びっきり素敵な一日になるわ」
「ああっ、ヤバいヤバいっ! そろそろ時間だ。それじゃあ、おいらたちは緊急会合に出席するからさ。六十分後に『
「一緒に行けなくてごめんなさい。あとからイレーズと来てね」
「うん、わかった! いってらっしゃい」
「そんじゃあ、
コン太とノアは仲良く並んで飛び去った。
凛花は歩き出す。
徒歩十分。波の音が聞こえる。日本海を視界に
……シン…………
波が止まる。四方から音が消えて
神聖な霊気が
音もなく、ぽっかり、空に小さな穴が開いた。それは
イレーズがゆっくりと降りてくる。スッ、目の前に差し出された右手を
ストン……。ふたりは『
上空には『透明結界』が張り
『特殊結界』や『特殊ベール』の内部は異空間である。それゆえ地上から空は見えても結界上の光景は肉眼視できない。
ザッ、ザザッ、ザザザアァッ…………
再び波の音が聞こえて清爽な風が吹き抜けた。停止していた『
カミハカリ(七日間神議)に臨席予定のイレーズは
イレーズは凛花の顔を
「久しぶり、だね?
「はい。七か月ぶりです。昨夜はドキドキして眠れませんでした」
「うん。あれから時間を作れなくてごめん。任務が立て込んでしまってさ……」
「いっ、いえっ!」
「日々を楽しく過ごせてた?」
「はい。充実していました。ノアがいて、コン太がいて。
「そっか。良かった」
「……。ですが、私はいつの間にか
「
「イレーズさんに、会いたかった……」
「
「あ、あのっ、はい。とても、寂しかったです。『
イレーズはため息をもらす。
「俺もさ、遠距離恋愛って
「え…………?」
凛花の瞳が不安に揺らぐ。
……ごめんって? 厄介って? もしかして終わりにしたいってこと? 超遠距離だから簡単に会えないし。人間の恋人なんて面倒になっちゃったのかな? やっぱり天界と
「あっ、ちょっと待って! 凛花が今考えていること、たぶん違うよ?」
イレーズはふと察して
「ちがう……?」
「うん。俺たち極等万能祭司は大抵のことは
凛花はあたふたする。
「ええっ? 私がイレーズさんを……? それこそ有り得ませんっ」
「そ? 俺は恋愛経験がないからさ。凛花は退屈しているかな、もう
「そんなっ……! 恋愛経験がないのは私だって同じです」
「だけどさ、俺に恋人ができるなんて
「(あわわっ……)」
「俺はさ、凛花と恋人になれて嬉しかった。だけどそれと同時に感情が動いて大変だった。会いたいのに時間が合わなくて、もどかしくて
凛花は
「私もです。ついマイナス思考になりました。ごめんなさい……」
「ん。たぶんだけどさ。俺たちの愛情総量は『同値の関係』のはずだよ?」
「わあっ! それならいつも『満タン』なので安心ですっ」
「ククッ、そうなの? それじゃあ俺と同じだね?」
イレーズは少しおどけて、照れくさそうに笑った。
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