第二十章 ④恋の自覚
三峯の丘の上。
「なぜかよくわかんないんだけどさ。凛花に会いたくて
イレーズがぼそり、
凛花の胸がときめいた。
「あ、あの! たった今、
そしてようやく『ある結論』に思い至った。
「自覚?」
「はい。
「それで? 悪い病気だったの?」
「いいえ。どうやら私はイレーズさんに
イレーズは
「ああ、『恋』か……。そうか、なるほど。恋の自覚か……」
「……すみません」
「なんで謝るの?」
「えっと、何となく……、です」
「瞳を
「はい……」
ふたりは見つめ合った。
凛花はそっと覚悟を定めた。
……ああ、ちょっとだけ
同情されるのかな。それとも
イレーズの眉が
……ああ、胸が押し
わかっている。
イレーズさんは未來王の四大弟子であらせられる極等万能祭司なのだ。
イレーズは
……凛花の幼き日に
しかし彼女は
そして心を動かされた。
……そもそも俺は人間の過ぎ去った歳月になど興味はないはずだ。冷血漢であり同情心の
それなのに凛花を
イレーズは天を仰いだ。
……ああ、そうか。そういうことか。もしかしたら俺は初めて『恋』をしたのかもしれない。
俺も友人になりたい、率直にそう思えた。
俺は凛花との再会を待ちわびていた。そして今日、会うことができた。
……嬉しかった。勝手に
なぜか凛花の手料理を食べてみたいと思った。優しい味だと感じた。
胸が
だけどもしかすると。この浮き立つ感覚が『恋』だというならば。……そうなのかもしれない。恋とはこんなに心が
イレーズは大きく息を吐き出す。
「あのさ……。もしかしたら俺は、凛花に恋をしたのかも知れない……」
そう言って頭を抱えた。イレーズは未知なる感情に戸惑って混乱していた。
凛花にはイレーズが大きなため息をついて頭を抱えて途方に暮れているように見えた……。
「あのっ! それはたぶん思い違いです。イレーズさんが私のような人間に恋をするはずがありません! だからきっと勘違いのはずです。安心してくださいっ」
イレーズは
「ねえ、それってどういう意味? 俺がミスリーディング(
「……。もしも間違っていないのだとすれば。私がイレーズさんを
「……?
「
「……? 何を言っているの?」
「申し訳ありませんっ」
凛花は深く頭を下げた。
「……。それってさ。要は『友人』から『恋人』には昇格しない、ってこと?」
「はい」
「どうして?」
「すでにご承知かと思いますが。私の身体は
「相応しいって……、何なの? 要するに俺は凛花の恋愛対象外ってこと?」
「はい。恋人、なんて有り得ません」
「……。そっか…………」
イレーズは神妙な
「うーん、とりあえずこの件は『保留』にしよっか。今はお互いが混乱している気がするしさ。お互いに少し頭を冷やそう」
「……。」
「じゃあさ、俺たちの共通の友人である『太郎』の話でもしようか」
「太郎さんの? ……はいっ!」
凛花の沈んだ感情はわずかに持ち直した。
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